One day partner. 【SERVAMP】

#2 Hello sweet 【クロ】 ページ2

.


カーテンの締め切られた、薄暗い部屋で
目を覚ます。


ああ、早く開けなきゃな、なんて
思って起き上がろうとすると



『ん…？』


ふと、腹部に違和感を感じて目をやった。
そこには、血色の悪い白い腕がしっかりと
巻かれていて…これってまさか…ゆうれ…い…






『ぎゃ_______________んむ』



「静かにしろー…真昼が来ると厄介だ…」


口が塞がれて、耳元で重低音が響いた。
叫び声も出せなくなって必死にもがいていたら
今度は「はぁ」とため息が聞こえた。



「俺だよ…1発でわかれっつーの…
向き合えねー…」



『クロ…？』



塞がれていた口が解放されて
その腕が離れていく。

ちうょどできた隙間を利用して寝返りを打てば
整った顔をした赤眼の吸血鬼と目が合った。



『ここ私の部屋だよ…？
なんでいるの？』


「…あー、なんとなく？」


『なんとなく…？』


「別にいいだろ…」


そう言ってはまた私に腕を絡めて
胸元に頭を埋めるクロ。


『ク、ロ…』


「あー…？」


『くすぐったいよ…っ』


クロの細い髪の毛が僅かなボタンの隙間から
侵入してきて、うなじを撫でていく。

これが、もう、くすぐったくてダメなのだ。


「…はぁー…
えろ…」


『へ！？』

表情の見えない胸元の頭から、卑猥な言葉が
聞こえてきた。


「お前…警戒心無さすぎんだよ…
ふつー、他人の男にこんなことされたら
無理矢理にでも抵抗して逃げるだろ…」



『え…だって他人じゃないよ…？』


「彼氏でもないけどなー…」


『私は、クロのこと好きだけどね』


「…」



私がそう言ったら、むくりと顔を上げて
こちらを見上げてきた。



「…誰にでも言ってんの」


『え！？言うわけない！』


「あっそ…」

また、顔を埋めたと思ったら、今度はクロの
指先が私のパジャマの中にほんの少しだけ
入ってきた。


その冷たい体温、体がぴくんと反応する。


それを見やってか、クロの腕は
どんどん服の中に入っていき、
終いには背中の後ろで交差して動きを止めた。



「…こわくねーの」


『こわくは、ない
だけど、不思議』



「なにが」



その気だるげな顔にクスりと笑いをこぼすと
クロは眉根に皺を寄せて怪訝そうにこちらを
見つめてきた。



『なんか、今日のクロは甘えん坊さんみたいだね』



そう言ってよしよしと頭を撫でてみたら、
「向き合えねぇー…」と決まり文句を吐いて
また顔を胸元に押し付けた。



「…もう、我慢しねーぞ」



『…え！？』

#3 限界の先で。 【椿】→←#1 一口、美味しかった【城田真昼】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す