No.318 ページ10
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どうしよう！
二年ぶりの再会。こんなところで鉢合わせるなんて思わなかった。見つかる前に早く出ていかないと、またあの子に嫌な思いをさせてしまうかもしれない。私の顔なんて見たくないに決まってる。
「恵林…」と和葉が私の背中を撫でて心配してくれている。
「ごめん、大丈夫…」と深呼吸して、私は顔を上げた。
先生が話し出したから、クラスも静かになっていた。一刻も早くここから抜け出したい。
あの子が私の存在に気がつく前に！
＿＿＿＿説明会の内容なんて、まるで何も覚えていない。
次の日も係で集まる日だったから、怖くなって学校に行けなくなってしまった。
家の中で昔のことを何度もシミュレーションする。後悔ばかり募るけど、肝心な部分はよく思い出せない。思い出そうとすると記憶に蓋がされて、途端に真っ白になってしまうのだ。だけど、耳にこびりついているのは「大嫌い！」の言葉と、いつも笑顔だったあの子の劈く泣き声。私が昔不登校だったのも、あの子と喧嘩してしまったのが原因だ。
その翌日は頑張って行って、和葉に引っ張られ修学旅行前の最後の係会に参加した。この時間が終わればあの子とはもうきっと会うことはないだろうけど、心のどきどきは治まらなかった。
何故だか、同時に凄く寂しくなった。
同じ空間に私がいても、あの子は全く普通に過ごしている。私のこと、本当に気がついていないみたいに楽しそう。
そんなものなのかな。
何もかも、もう忘れてるのかな。
でも、忘れられたら困るのは私の方だ。ずっと自分のしてしまったことを悔いてきた。それをあの子が覚えてくれていなきゃ、今まで私を戒めていたものが全部、行き場を失くして彷徨い続けることになる。
晩餐会のみんなと出会えて、なんだか許された気になっていたみたいだ。根本的な問題は解決していない、私はただ逃げていただけなのかもしれない。
もう克服したと思っていたこのお腹の痛みも、あの子の顔を見ただけで全部思い出しちゃったのだから。
「恵林っ」
急に真っ暗になる視界。さらさらと頬に何かが触れてくすぐったい。
「か、和葉！苦しい！」
「あ、ゴメン！」
和葉が私の体をぎゅうっと強い力で抱きしめていたのだ。気が付かない間に話し合いも終わっていて、みんな自分たちの教室に帰っている。私達もその流れの最後尾に距離を置いてくっついていた。
和葉は足を止めて私の前に立ちはだかると「あたしが守る！」と、頼もしく腕を組んで宣言した。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
