No.342 ページ36
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グタグタと続いた長い仲直りはこれにて幕を閉じた。
気づけばしずくは、言い合いながらも野嶋たちのグループに溶け込んでいる。
「三号」と、気だるげなライガの腕が下からニョキっと伸びてきた。
「今、レイから連絡がきたよ。絢瀬のこと許してやれってさー。」
「今！？おっそ……もう全部終わった後なんですけど。」
恵林はライガの横にしゃがみこんだ。一応、レイタロウも気を利かせてくれたというわけだ。彼のことはやはり憎みきれない、そう思って小さく微笑む。
「…レイちゃんにありがとうって伝えておいて。」
「めんどくさー」などと言う。ライガは相変わらず怠惰全開だ。
「自分で伝えればいいじゃん」
「ええ？」と砂をいじっていた手を止める恵林。彼女の反応を、ライガはじっと観察していた。
「…いや、しばらく喋ることはないだろうから……」
儚げな声色。きゅっと結ばれた口と伏せられたまつ毛から分かる、遠くに行ってしまったものを見つめる顔をしている。
「…あっそー」と、ライガは砂だらけのお尻を叩いて立ち上がった。
「僕帰るー、ばいばーい」
「あ…」と、見送り損ねた恵林。ライガの小さな背中が遠ざかっていくのが、やけにぼやけて見えた。
…昔の友人たちと絡まなくなったのも、丁度あの背丈くらいの頃だ。恵林はライガの背中に昔の自分を重ねる。その横にはレイタロウと親友もいて、そして、必死になって追いかけていた「少年」の背中も、その先のずっと向こうに見えた。
「＿＿＿＿＿＿＿＿え〜りん」
元の世界に引き戻されて、恵林は我に返って握っていた砂を手放した。
「終わった？もう俺、待ちくたびれちゃったよ」と、中村は日陰のベンチから伸びをして立ち上がり、こちらにやってくる。
「しーくん…」と、恵林は笑いかけた。
「さて、俺らも帰らないと学校閉まっちゃう。」
そうだった、と恵林は思い出した。持ち物は全て第一理科室に置きっぱなしだ。野嶋たちは既に一度帰宅しているようで私服を着ていたので、自分もそうだと思い込んでいた。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
