No.339 ページ33
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「思うのだけど、金魚を殺したのだって同じ。しずくちゃんは自分の代わりに誰かが犠牲になることが一番の苦だと知っている。だから代わりに私が髪を切るの、それが嫌なら＿＿＿＿＿＿＿ちゃんとごめんなさいしよう！」
そう言ってニッと笑った恵林。
謝る？
しずくは体を強ばらせた。
友達との仲直りにだって、謝罪を向けたことなど一度もない。言葉なんかよりも、行動や態度に意思が込められるのだと思っているからだ。
「そんな…謝って何になるというのです！」
「あー！そういうとこけいとくんと同じだよ！恥ずかしがってないで素直に謝れる方が絶対良いよ！」
しずくの顔がぶわっと熱を帯びた。
「あ、謝るくらい、恥ずかしくもなんともないですってば！」
「じゃあほら、ごめんなさいは？」と、恵林はしずくを挑発するように手招きする。ぐぐぐと奥歯をかみ締めて、小さな声で「ごめんなさい…」と謝罪するしずく。
しかし恵林は「ちがーう！」とそれを突っぱねて、野嶋の方へと指をさした。
「私にじゃなくて、この子達に！」
しずくは呆気に取られて野嶋を見た。「なんだよ！」と野嶋は怒っている。
「…い、嫌です！こんな屈辱あんまりです！」と断固拒否するしずくに、野嶋は「お前ほんっと嫌な奴だな！」と声を荒らげた。
「なら、野嶋くんがちゃんと謝ってくれるならボクも謝ってあげてもいいですよ！」
ぷいっとそっぽを向いて、しずくは両手を背中に隠した。
「は！？お前に謝ることなんてねぇよ！」
「ボクじゃなくて、高橋さんに！」
ぐっと野嶋の言葉が詰まる。
高橋とは、絢瀬が守ってきた友人の名前だ。
「そうそう、そうだよね！野嶋くん、これまで嫌なことしてきたならちゃんと謝らないと、その女の子に嫌われちゃうよ？」と、恵林は野嶋を諭す。「それは困るよな、野嶋」と、至極真面目に横の男子が答えた。
「うるせっ！黙ってろボケナス！」と、野嶋は彼を引っ叩く。
「あ、そういうこと言っちゃ駄目でしょ！ちゃんとごめんなさいしなさい！」
「さっきから一々なんなんだよお前ー！」と、野嶋は恵林にぶんぶんと腕を振り回した。その様子をつまらなそうに眺めていたライガは、「野嶋ぁ」と暇つぶしに彼を呼ぶ。
「今すぐ選んでねー。絢瀬に告るか、高橋に告るかー」
ライガは眠そうに目をこすって滑り台を滑ってきた。その体制のまま、足元の砂を野嶋に投げつける。
「は？……はあ！？！？」
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
