No.336 ページ30
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「ちょぉっと待ったー！」
ガサガサと茂みをかき分けて、満を持して恵林は現れた。「この場面なら異議あり！の方が絶対良かったのに…」と、文句を言いながら後から中村もちんたらついてくる。
「あれー、懐かしい顔。三号じゃん」と、ライガは笑って恵林を出迎える。
「恵林センパイっ！なんでいるんですか！」
しずくは驚いた様子で振り返った。「助けに来たよ！」と、恵林はカッコつけて見せた。
その笑顔に、しずくの瞳がきらりと光った。
「はあ！？助けに来ただあ？冗談じゃねーよ、聞いてたんなら分かんだろ！コイツとんだ悪党だぞ！」
野嶋はビシッとしずくを指さす。「そーだそーだ！」と野次も沸いているので、しずくはバツが悪そうに視線を逸らした。
「うん！悪い子だった！しずくちゃんを擁護するつもりは毛頭ない！」
「なら何しに来たんです、今更いい顔しないで下さい。」と恨みの篭もるような声がした。恵林はドシッと構えて、強い視線でしずくを貫く。「な、なんですか！」と、しずくは怯えるように叫んだ。
「あんたが髪を切るのなら、代わりに私が髪を切る！」
突然思いもよらない爆弾発言が飛び込んできて、「は！？」と、男子たちに混ざって中村も目を見開いた。
「何言ってるの、フツーに助ければいいじゃない！」
中村は慌てて恵林の目を覚まそうとする。しかし恵林は勇ましい立ち振る舞いのまま「追加でしーくんも散髪します！」と、彼のことなど見向きもせずに言い切った。中村は天を仰いで「いや流れ弾がストライクしたんだけど？」と情けない声で嘆いた。
「しずくちゃんの代わりに私が罰を受ける。それでもいいでしょ、ライガ！」
くわっと大きなあくびをして、「なんでもいいから早くして〜」と、ライガは眠たそうにハサミを滑り台へ転がした。落ちてきたそれを拾い上げて、恵林は一度大きな深呼吸をする。
「君たちも、これに懲りたらもうお友達いじめちゃだめ！分かった！？」
素性の知らない先輩に突然説教された男子たちは「いや分かんねーよ！お前がハゲになったってこっちは消化不良だっつーの！」と怒りを顕にした。
「うるさいな！元はと言えば君が撒いた種なんだから、立派な花が咲かなかっただけ良かったと思いな！」
「あとハゲる訳じゃないから！」と、ぐりぐりと人差し指で野嶋のおでこを潰す恵林。「いってー！！！」と、野嶋はそれを払い除ける。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
