No.311 ページ3
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「変ね、今日は生徒会の仕事は何も無いはず。図書室に用事なんて聞いてないけど…」
「あっ！」と大きく閃いた声がして振り返ると、しずくちゃんが手を打って目を丸くしていた。
「忘れてました！ボク、そうちゃんセンパイに頼み事をしていたんでした！」
頼み事？と、その場にいたみんながハテナを浮かべる。そもそもしずくちゃんはどうしてここに来たんだろうか。
そんな疑問を見透かすように笑って、しずくちゃんは「ボク、晩餐会に依頼しに来たんです！」と私とばっちり目を合わせた。
…校庭の油蝉がより一層強く鳴いた。
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「ねぇ！依頼って、そうちゃんに依頼したの？」
私と美江、そしてしずくちゃんは廊下を早足に駆けていく。急いで図書室に向かっているのだ。
「はい、そうです！」と嬉しそうに前を行くしずくちゃんに、私はどこから説明すべきかと頭を悩ませた。
「直接本人に頼むんじゃなくて、私を通してもらわないと…」
「あ、居ましたよ！」
キキーッと急ブレーキを掛けて立ち止まるしずくちゃん。もう、言いたいことも言えないよ！
正面に見えてきた図書室の入口に、確かに男子生徒がぞろぞろと集まっている。口々に言い合っている不穏なその中心に、そうちゃんはいた。
なにやらごたごたと揉めているようで、みんなでそうちゃんを攻めているような会話が聞こえる。
「なにやってんのよ、アイツ」と不服そうに美江がカツカツと歩き出した。
「ちょっとあなたたち！図書室の前よ、静かにしなさい！」
「み、宮野…！」と、とても小さな声でそうちゃんが救世主の名を呼ぶ。どうやら困り果てていたようだ。
「それで、何があったと言うのよ。」
「一年たちが、集団で図書室の本を盗んでいるところを見たんだッ！」
「だからそんなことやってないっすよ！」
ビシッと指をさされた男子生徒がうんざりした様子で頭を搔く。周りの友達も、「な！」と口々に賛同していた。
「証拠は？」と美江はすぐに唇をへのじに曲げて、そうちゃんにホレホレと手の内を見せる。
「しょ、証拠は……」
「ほーら！無いじゃないっすか、罪のなすりつけだ！だって先輩のズボンのポケットに！」
一年はそう言いながら「な、なんだ！」と慌てるそうちゃんをくるりと裏返して彼のおしりを指さした。そこを見てビックリ！なんと児童書の文庫本が一冊、ぴったりのサイズでポケットに仕舞われていたのだ！
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
