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No.327 ページ20

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「てか、何そのリボン、ダッサ。ホノちゃんがあげたプレゼントはもう用無しってワケ?」

私は反射的に髪を結んでいる青いリボンに触れる。これは葵がくれたものだ。そして、一つ前の赤いリボンは、親友(あの子)がくれたものだった。

「ちがう、あれはずっと使っているうちに色褪せてしまって…」

「いやいや、関係ないし!ったく、キミのそういうところときたらさあ。だからホノちゃんに嫌われるんだよ。」

「それは…その…」

言葉が出てこない。まるで蛇に睨まれたカエルだ。周りの男の子が何か言ってるけど、なんにも聞こえないくらいには私は石になってしまっていた。

「あーもうダルいダルい!さっさといなくなってよ、誰がお前のお願いなんか聞くもんか、べ〜だっ!」

レイちゃんはふらっと離れて舌を出す。また仲間と遊びを再開しようとするので、私は咄嗟に「あっ待って!」と彼を呼び止めてしまった。彼はそれはもう怒った様子で「しつこいんだよ!」と振り返る。

しかしその表情はすぐにヒュウっと青ざめていき、「で、で、で……」とガタガタ震えながら私の背後を指さした。


「出たーーー!!ナカムラシオン(緑ヶ崎の産物)!!」


あ!その言葉、逆パターンもあったんだ!

登場早々、「ハ?」としーくんが目を細める。ちゃんとついてきてくれたみたいだ。

「さ、さ、さ、三号ちゃん!!あんまりだよ、ユウちゃんがいなくなったからってこんな奴に寝返ったの!?この裏切り者!悪魔!!」

「そ、そういうのじゃないよ…」

レイちゃんは私の背中にしがみついてすっかり怯え切っている。……彼は極度のビビりで、自分より強い相手が現れるとすぐに逃げ腰になるのだ。

葵は単純にこの北見の産物に敵う相手が欲しかっただけだと思うけど、彼の特性的にも、連れてきたのがしーくんだったのは最適解と言えるだろう。

「ガハハ!レイ、怖がってんじゃねえよ!」と、その場で一番大きな体の男子生徒が前に出てきた。

「中村なんてただの嘘つきだろ?実際は女子追っかけ回してるだけの変態じゃん!」

ドカッと再び笑いが起きる。不味い、しーくんの表情がみるみるうちに冷たくなっていく…



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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます! (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2023年8月2日 23時

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