No.326 ページ19
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「接点はないよ。ああいうむさ苦しい馬鹿の集まり、俺興味無いんだよね〜」
くわっとあくびをするしーくんに、「お願いがあるの」と私は真剣な眼差しで頼む。
「ただ、本当にただ横にいてくれるだけでいいからついてきてくれないかな！？」
ぱちくりと目を丸くする彼。こくんと、誰かの喉が鳴った。
＿＿＿＿＿＿
「レ、レイ…ちゃーん」
私はステージの下から声をかける。「うわ！」としーくんが葵の背に飛んだ。バレー部のボールを避けたみたいだ。
体育館はどこもかしこも球技系運動部のコートになっている。いつ大きな球が降り掛かってきてもおかしくないのだ。そんな中、引退したはずの三年生がたむろして遊んでいるこのステージ…私だけでなく、後輩たちにとっても恐ろしくて堪らないだろう。
レイちゃんからの返事はない。「声量が足りないんじゃないの？三城さんみたいにならないと。」と葵から謎のアドバイスが。
「やってみる…レイちゃーんっ！」
あ！レイちゃん以外の男子が数名、私の方を見た！
けれど無視してまた笑い出す。気づいてない…わけは無い、ああ怖い！
飽きてきたのか葵は「ステージに上がったら？」と、怖いことを言い出した。しかしそれしかもう残された手立てはない。
勇気を振り絞り、振袖の階段を一段、また一段と上っていく。そしてとうとうステージ上にたどり着くと、私はゲラゲラやかましい男子たちのもとに行って、「レイちゃん！」と彼を呼んだ。
遊びが中断され、レイちゃんはこちらを少しも見ずにため息をついた。そしてつまらなそうな顔をする。
「あの、レイちゃん！話があって…」
「三号ちゃんじゃ〜ん、お久しぶりぃ」
にゅっと笑みを浮かべてこちらを振り返るレイちゃん。三号とは私のあだ名だ。ちなみにレイちゃんは二号、
けれどその安心はすぐに打ち砕かれる。
「あっもう三号でもなんでもないんだった！誰だっけー？」
たちまち笑い出す周りの意地悪な男子たち。足が震える。でも、こんなこと初めてでもなんでもない。気にしちゃダメ！
「恵林だよ。レイちゃん、お願いがあって＿＿＿＿＿＿」
「ハア？お願いー？」
ケタケタ笑ってレイちゃんは私のすぐ目の前までやってきた。昔よりずっと伸びた背丈のせいで、見下ろしてくる彼の目がまるで私の中を覗いているみたいで怖い。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
