No.323 ページ16
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「晩餐会という組織を利用するのなら、規則を守って貰わねば正しく運営できなくなる。」と、そうちゃんの手が止まる。
「未だに誰も守ってくれていないが…依頼者から一度依頼内容の相談を受けてから、こちらが適切な人材を紹介するというルールがあるんだ。」
「あ、そうなんですね。じゃあ依頼やめます!」
ニカッと笑い、立ち上がるしずくちゃん。するとパタパタと出口へ駆け出し、「直接しーくんセンパイにお願いしてきま〜す!」といなくなってしまった。
「…あなたの妹、性格変わった?」と美江がけいとくんの頭に手を置く。その手を払い落として、けいとくんは大きくため息をついた。
「僕じゃ力不足なんですよ、しずくは僕より頼りになる男を探しているんです。」
だからそうちゃんやしーくんを巻き込んで、守ってもらおうとしているのかな。あの子のことだから、一人でも簡単に勝てちゃいそうだけど。
「それでどうするんだ、このままでは波瀬の弟と中村が対立して大事になってしまうぞ。」
今頃しずくちゃんはしーくんを味方につけてると思うし、ライガの方をなんとかした方が良さそうだ。
うーん…あんまり気は進まないけど、ライガの兄であるレイちゃんに仲介してもらうのが早いかな。
「レイちゃんって、確かバレー部だったよね?もう引退の時期かな…」
アインのように後輩育成のために部活に残る人もいるけど、彼はそんなタイプではない。
「いると思うよ。
和葉はそう言って人差し指を立てる。
そっか、和葉はもともとバレー部所属だった。
「なんだ、呼んでくるつもりか?俺は奴は好かん!」
「そうちゃん、レイちゃんのこと知ってるの?」
「騒がしくて全く話を聞かない奴だろう」と、そうちゃんは渋い顔をする。
「それは同感ね。この前の係会の時も彼は私と同じ保健係だったんだけど、ずっと男子で集まって喋っててうるさかったわ。」
美江までもが微妙な反応だ。加えて和葉も退部しているバレー部に顔を出すのはキツそう。ますます行きづらい…
でも、ライガの居場所は分からないし、ここは面識のある私が行くしかない。
「ちょっと行ってくる…あんまり期待できないけど。」
「俺も行く」と、声が上がる。珍しい、葵が同行してくれるみたいだ。
私は葵を連れて、緊張のためか重い足取りで第一理科室を出た。結局私達も等しく、しずくちゃんに振り回されている気がする…。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます! (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2023年8月2日 23時