今夜、晩餐は学校で！【10】

No.321 ページ14

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「確かうちの学年でもハゼという苗字の生徒が…」と、記憶を呼び起こすそうちゃん。

「……それって、波瀬(ハゼ)レイタロウのこと？」

きっと苦い顔をしていたのだろう。そう答えた私に「なんだその嫌なものを見る目は」と、そうちゃんはツッコミを入れる。

「恵林…」と、里奈が心配そうな様子でこちらを見ていた。何故なら波瀬レイタロウは、親友(あの子)の幼馴染みだから。幼馴染みどころではない。産まれた病院も一緒だったと、昔聞いた覚えがある。

そして彼もまたあの子と同じく、昔私と仲良くしてくれていたうちの一人なのだ。

小学校の頃から一緒だったアインや里奈は、私が親友と喧嘩したことも、以前誰とつるんでいたのかも、全部知っている。だから里奈は突然掘り起こされた波瀬の名前に私が動揺しないか、心配してくれたのだ。

でも大丈夫。もう既に親友と鉢合わせるという最大の恐怖を味わったあとだからね。ちょっと心臓はどきどきして冷や汗も垂れてきそうだけれど、その時よりは怖くない。

「波瀬ライガはレイちゃんの弟だよ。そっか…今年から中学生なんだ…」

なんだか懐かしいなぁ。
みんな兄弟が多くて、仲が良くて、ずっと一緒に遊んでいたのを思い出す。私は一人っ子だから下に弟や妹がいる生活ってよく分からないけれど、きっと楽しいのだろうな。

波瀬レイタロウ…レイちゃんも、いつもライガとその下の弟を連れていて学童で遊んでいたんだ。ライガはしっかり者でレイちゃんよりツンと大人ぶった感じだったはず。殴り合いの喧嘩なんて馬鹿馬鹿しいね、なんて冷めた目で言っていたこともあるくらいなのに、どうして果たし状なんか……

「どうやらライガくんは、ボクが喧嘩を売った男の子たちのボスだったみたいです。子分の粗相を取り返しに来るんでしょう。」

「有り得ないよ。ライガは女の子に暴力振るうような子じゃないし、そもそも人を殴ってるところなんて見たことない！」

「恵林センパイわかってないですネ〜。殴る蹴るが仕返しの全てじゃありません！何が起こるか分からないからこそのしーくんセンパイじゃないですか！」

…あ！そうだった！
この話としーくんを待つことが、一体なんの関係があるの？



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