No.320 ページ13
.
ありがとう…なんだ。
でもそうだよね、自分をいじめていた相手に、代わりに復讐してくれたんだもの。スッキリしたんだろう。
「ウーン暇ですねぇ、吹奏楽部が終わるまであと一時間もあります。」
しずくちゃんはそう言うと首をこてんと傾けて時計を見上げた。どうして吹部の話？
「友達でも待ってるの？」と聞いた私に、「中村を待っているそうよ」と美江が答える。
「え！？な、な、なんでっ！？」
何故か私より和葉が驚いて振り返った。
「アイツ、後輩にモテモテで私たちが引退した後も部活に入り浸ってるのよ。チヤホヤされるからって呆れる！」
美江は愚痴を零すようにため息をつく。そういえばしーくんが晩餐会に来るの、最近遅いなって思ってたけどそういう理由だったんだ。
それにしても、そうちゃんの次はしーくん…しずくちゃんの用事って一体なんだろう。
「実は、図書室事件の話には更に続きがありまして！」と、しずくちゃんは愉快に手を叩いて立ち上がる。
「脅迫文の差出人がボクだってこと、その男の子たちにもバレちゃったんです〜」
＿＿＿＿＿＿えっ
「ええええ！！マズイじゃん！」
「そうなんですよぅ、しくしくしく…」と嘘泣きをするしずくちゃん。
「それで、今度はボクのもとにこんなモノが…」
彼女はニコニコ笑って「テッテレーン！果たし状〜」と、秘密道具でも出すノリでスカートのポケットから紙切れを取り出す。中身を開いて見せてくれたので、どれどれと私たちは一斉に集まる。
＿＿＿＿今日の放課後、第二公園にて待つ。来なかったら明日の朝一番に、お前のしたことを全部先生に言う。
読んでみると、そんな内容であった。
しずくちゃんのしたことって、脅迫文を送り付けたこと
かな。
「しかも律儀にお名前まで！ホラ！」
なんでそんなに楽しそうなのか分からないが、しずくちゃんは元気いっぱいに果たし状の差出人の名前を指さした。
「ハゼ…ライガ……一年かしら？」と、美江が読み上げる。
「む？聞いた事のある名だな。」
うわ、びっくりした。そうちゃんいたんだ。
彼は私と和葉が来る前からずっと一番後ろの席で生徒会の書類をまとめていたらしい。一言も発さずに作業しているものだから気が付かなかったよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
