図書室事件の行方 ページ12
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「おつかれおつかれー！」と言って、和葉は第一理科室に入って行く。「お疲れ様」と、真っ先に里奈が出迎えてくれた。放課後になって、もうみんな晩餐会に集まっていたのだ。
私も知らん顔で和葉の後ろに続いた。さっきまで泣いていたことは、みんなには秘密だ。
「あら、遅かったじゃないの！どこで道草食っていたのかしら！」
定位置である一番前の席に足を組んで座る美江。部活を引退してからというもの、彼女の気取り具合もより一層拍車がかかっているような気がする。
「イビリ姑」と、どこからか小さな呟きが聞こえてくる。美江はそれを聞き漏らすことなくしっかりと耳で拾うと「桐ヶ谷、いつか覚えてなさいよ」と、冷たい口調で言った。
「お邪魔してます〜！」
その中心に、当たり前のようにいるしずくちゃん。横には絢瀬くんもいる。彼女はにっこりと笑って私に手を振ると「センパイ聞いてくださーい！」と、うるうるした視線を向けてきた。
「図書室事件の時に助けたお友達いたじゃないですか、あの後ケンカしちゃったんですぅ！」
「え！」と驚く。
確か、男の子たちに嫌がらせを受けていた子のことだよね。和葉は「なにそれ？」と不思議そうな顔をする。そういえば、あの時いなかったんだ。
「知ってたならなんでもっと早く助けてくれなかったのーって、怒られちゃって。マ、もう仲直りしたんですけどね〜」
ガクッ！なんなんだ一体…
でもそっか、しずくちゃんでも喧嘩するんだ。
「どうやって仲直りしたの？」と、興味本位で聞いてみる。もしかしたら、私の問題解決のヒントになるかもしれない。
しずくちゃんは「聞いちゃいます〜？」とゲラゲラ笑いだす。
「ボクの誠意を示すために、男の子たちに匿名の手紙を送り付けて脅迫したんです。今後あの子に近づいたらボコボコにするぞーって！そしたら翌日に緊急で学年集会が開かれちゃって大変でした。」
や……やりすぎ！！
「さすがしずく！」と、けいとくんが目を輝かせているが、一体何がさすがなんだ。
「心当たりがある人は先生の元へ〜っていう話し合いだったんですけど、その時にボクが犯人だよってお友達にこっそり教えたんです。そしたらありがとうって言ってくれて仲直りできたんです！」
「聞かなかったことにするわ」と、美江が苦い顔で耳を塞いだ。しずくちゃんは何故か照れくさそうに「きゃっ！」と、ほっぺたを両手で挟む。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
