No.310 ページ2
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学校が始まってどの部活もいつも通り活動し始めると、例外なく晩餐会も再開することができた。
相変わらず依頼人は訪れる気配もなく、新学期も変わらない顔ぶれで始まることになりそうだ。
「恵林セーンパイっ！」
「う、うわっ、しずくちゃん…」
まだ人の少ない放課後の第一理科室にて。
突然腰にがばっと何かがぶつかったかと思えば、抱きついてきたその子はいつものようにクスクスと笑って私の背から顔を出す。
「来ちゃいました〜！そんな嫌がらないでください、傷ついちゃいます！」
「だから、嫌がってないってば！」と毎度のように弁解するけれど、しずくちゃんはいつもいつも私と顔を合わせる度にこう言うのだ。ヒヤリとして心臓が裏返りそうになる。
「センパイ、僕もいます」
こっそりと教室の入口から顔を覗かせるけいとくん。「おいでおいで！」と手招きをすれば、彼は少し照れたようにはにかんでちょこちょこやってきた。
「はあ、暑くてうんざりするわ！水筒の中身ももう空っぽ！氏橋、いないの？氏橋ー！」
「もう、浄水器まで走らせようと思ったのに。」と、一番前の席で足を組んで座る女王様……美江も、コンクールを終え吹部を引退したのでまだ明るい時間から晩餐会にいてくれる。逆にアインは総合体育大会でバケモン級の成績を叩き出してしまったため、他の三年生が引退しても尚、後輩のために部活に残っている。
「宮野さんって、周りが寿退社していく中、独身で残った古株の御局様みたい。」
「はあ！？どういう意味よ！」と怒鳴る美江。絢瀬くんの後に続いてやってきた葵は「ほらね」と付け足して机の上に荷物を置いた。
変な例え。ドロドロドラマの見過ぎなんじゃないかな？
「わ〜！葵センパイだぁ！」と駆けていくしずくちゃん。けいとくんも一緒になって、葵の両腕をがしっとホールドする。
「退院おめでとうございます、葵センパイっ！」
「元気になってよかったですね。」
「どうも」と暑苦しそうに双子の後輩から目を逸らす葵。二人は嬉しそうに彼の腕をぶんぶんと振り回した。
「そういえば氏橋だけど、図書室前で揉めてたよ」
ふと、葵がそう言った。
「揉めていた？どういうこと？」と不思議そうに眉を上げ美江が聞き返す。
「さあ。でも、何人かに囲まれて言い合いをしていたから、俺は巻き込まれる前に逃げてきた。」
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» 今回は出すつもりのなかった波瀬兄弟まで首突っ込んできたので畑中と絢瀬妹の性格について色濃くピックアップされた回になりました。感想いつもありがとうございます。励みになります。 (8月5日 4時) (
レス) @page49 id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ - まさかのしーちゃん回でこれでやっとみんな救われたのかなって...。しずくと修也くんの関係、歪んでて最高です。次回の修学旅行編楽しみにしてます！ (8月5日 4時) (レス) @page49 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年8月2日 23時
