知ること、それは孤独。 ページ46
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いつも第一理科室で見ている景色が、目の前でも同じように広がっている。
楽しげな様子に小さく笑って、少し離れた入口付近でアインがぎこちなく俯いた。ちらりと桐ヶ谷を見る。目が合った。
けれどそれはすぐに逸らされて、桐ヶ谷はまた皆の中心で入院中のことについて話し始めた。そうして別の話題に移り変わっていくのを眺めて、ホッとため息をつくアイン。
この様子だと、きっと桐ヶ谷はアインの「内緒話」を聞いている。
アインがアメリカへ旅立つことは、夏休みが終わっていよいよ受験が始まれば、皆にもいずれバレてしまうことだ。
けれど桐ヶ谷がこの場でそれを言わなかったのは、分かりずらい彼の優しさだ。
アインは自分の秘密を知った最初の人間が、桐ヶ谷でよかったと心の底から思った。そして、彼に感謝した。
……大切な友人と一緒に過ごせる時間にも、終わりは必ずついてくる。
その終わりの方へゆっくりと、本当にゆっくりと向かっている事実に、アインだけが気づいているのだ。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋!ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (レス) @page46 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2023年3月15日 23時