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No.308 ページ44

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「ウ、ウ、ウ、ウワーーーー!!!!」

恵林はすっとんで病室から出ていった。扉をバァン!と全開にして廊下に駆け出すと「うわっ」と曲がり角の階段で中村と衝突した。

丁度皆が、お昼ご飯の買い出しから戻ってきたのだ。

「おい恵林ッ!病院で走ったら危ないだろうが!!」と怒声を響かせる氏橋に「ア、ア、アオ…!葵が!」とがくがく震えてへたり込む恵林。

「うわぁーーーん!」

「な、何泣いてんだよ!」とアインが恵林の背中をさすりだして何事かと心配していれば、「生き返ったあ!よかった、よかったあ!」と恵林は泣きながら笑っているではないか。

「はは〜ん」と顎に手を添える中村。
とりあえず病室に向かおうと恵林を抱えて一生懸命廊下を進むと、606号室のベッドには体を起こして窓の外を眺める少年の姿があった。

「桐ヶ谷くん…っ!生き返ってる!」と和葉が指さした。

「ほんとだわ!生き返ったのね!」

「いや、死んでないから___ゴホッゴホッ」

「大丈夫!?」と慌てて七人で押しかける。桐ヶ谷は一段と痩せてしまっていた。

「葵ごめんね、ごめんね!私のせいで!」と鼻を垂らし泣きながら桐ヶ谷に縋り付く恵林。

「鼻水つけないでよ」と迷惑がる桐ヶ谷に「記念に付けておく…」と意味のわからないことを言って顔を埋める恵林。

「それで、いつから起きてたわけ?」と呆れ顔で美江が聞いた。

「一週間くらい前から目は覚めてたんだ。でもみんな、俺の葬式に来てるみたいな雰囲気で話しかけてくるから…」

「俺は気づいてたよ、病室変わったあたりでね〜。」と中村が口を挟む。確かに元々、桐ヶ谷の病室は604号室の集中治療室だったはずだ。それがいつしか、一般病室に変わっていた。

「ま、待てッ!つまり今まで寝たフリをしていた…ということか!?」

氏橋が顔色を悪くして聞いた。

「まあ、そうなるね」と答える桐ヶ谷。「ならもしかして祭りの前日に俺が一人でここに来た時も…」と続ける氏橋に、桐ヶ谷は気まずくなって黙ったまま目を逸らす。

「ヌオオオ!!!」

桐ヶ谷のその反応で何かを確信した氏橋は、頭を掻き毟り床に膝をついて倒れた。



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No.309→←晩夏、眠りの神様にて。



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そちゃ(プロフ) - おい氏橋!ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (レス) @page46 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2023年3月15日 23時

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