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欠片 ページ40

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「あ!また会ったね!」

花火の下で、中村と和葉の姿を見つけた恵林が駆け寄ってきた。片手にはポテトの袋を、反対の手には里奈の手をぎゅっと力強く握っている。もうはぐれないためだろう。

「恵林、立ち止まって見ようってば!」と後ろからアインが現れる。「ごめんごめん、つい見つけちゃって」と苦笑して、恵林は和葉にポテトを差し出した。

「え!食べていいのっ?」

「モチのロンってやつさ!」

「やったー!」

もぐもぐと食べ始める和葉の横で「そういえば美江とそうちゃんは?」とキョロキョロしだした恵林。中村は含み笑いで「お取り込み中〜」と囁いた。

大人も子供も、等しく夜空の花火に釘付けになっている。誰もがお喋りをやめて、夏の終わりが段々と迫っていることを感じ取っていた。夏祭りが終わればまた同じ日々が始まる。どこか知っている、過去に過ぎ去ったいつかの日に似ている日々が。

恵林は空いた手でアインと手を繋いだ。アインはどこか寂しそうに、友達の温度を確かめるように握り返した。


命も時間も流れゆく日々も、どれも等しく、いつか必ず終わるのだ。



______



最後に、一際大きな花火が咲いた。ちらちらと火の花弁が空から降って消えていく。夜空には煙だけが残り、同時に屋台の明かりがぼんやりと復活した。

止まっていた足も、皆まばらに散っていく。あちらこちらへ向かっていく人々の群れの中で、恵林たちは立ち止まったまま空を見ていた。





「___最後の花火、冠菊(かむろぎく)って言うんだぞ。知ってたか?」



「わ!」と驚いて振り返る。そこには氏橋と美江が仲良く並んで立っていた。

「どうせ知ったばかりの知識でしょう、大して詳しくもないくせに言いふらすのも大概にしなさいよね!」

「美江、髪の毛ほどいちゃったの!?」と残念そうにする恵林。美江は「この方がしっくりくるわ」と得意げに髪を払った。

「それでー…おふたりさん」

コホン、と和葉が気取り顔で口を開く。

「仲直りしてるみたいだけどつまりそれはー…」

「まあその、な。」と、気恥しそうにして美江をちらりと一瞥する氏橋。

「こ、こっち見ないでよ!」

なんだなんだと皆が注目する中、氏橋は耳まで顔を赤くしてぎゅっと美江と手を繋いでみせた。


「…こういうことだ。」


沈黙。


「ギャーーーー!!!おめでとう!!!」

「ぎゃ、ギャーーーーってなんだ情報屋 ッ!」




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そちゃ(プロフ) - おい氏橋!ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (レス) @page46 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2023年3月15日 23時

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