No.300 ページ33
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＿＿＿＿和葉の言う、敵わない人とは一体誰だろうか。
里奈、もしくは恵林？
ステージ前。
「もうすぐ始まるよっ！」と期待に胸を膨らます和葉の横で、中村はぼんやり先程の話を思い返していた。
自分のことが好きだなんて、物好きな女の子もいたものだ。
「お次は…この夏、素晴らしい成績を残した北見中学校の吹奏楽部の皆さんです！」
会場のアナウンスと共に、ワァっと拍手と歓声が起こる。「宮野、一番前じゃないか！」と氏橋が嬉しそうに指を差した先には、美江と恵林が並んで楽器を構え、パイプ椅子に腰掛けていた。
辺りはすっかり暗くなり、夏祭りもいよいよ盛り上がりを見せる。ステージの縁を飾る紅白幕紐や赤提灯もゆらゆらと揺らめき、涼しい夏の夜風を知らせた。
顧問が指揮棒を上げる。部員が一斉に息を吸い込んだ。
パパーン！と弾けるトランペットの音色。今年上半期に流行ったJPOPメドレーだ。途中に美江のソロが流れた。氏橋は和葉に言って、カメラで彼女の姿を写してもらった。
二曲目はジャズアレンジがされた有名な洋楽だ。一曲目と比べて大人な雰囲気だったが、中々様になっている。どの年代層でも楽しめるようなセットリストが組まれているみたいだ。
ラストを飾ったのは、夏といえばコレ！という、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう王道の楽曲だった。観客たちも皆口ずさんで北見中の演奏を楽しんでいた。
楽しい時間もあっという間で、美江たちの出番は終わってしまった。拍手喝采の中一礼する美江を見て、氏橋は「ブラボー！」と賞賛の声を上げる。
「素敵な演奏の数々、大変ありがとうございました！」とのアナウンスのバックで、部員たちが楽器を片し始める。ステージ裏に到着していたトラックに大型楽器が積まれていくのを横目に、「はあ…上手だったね！」と和葉が嬉々として言った。
「でも、もともとコンクールでやった曲を一曲だけ演奏する予定だったはずだけど、夏祭りの為に練習曲増やせたんだね〜。」
「そうなんだ、時間なかったのに凄いクオリティだったなあ！あたしも楽器出来たらカッコよかったのにーっ！」
氏橋は二人の話を上の空で聞きながら、先程の修也の言葉を思い出していた。和葉が元気づけてくれたことはとても嬉しかったが、修也が言っていたことは間違ってはいない。
そんな時だった。自分には何が足りないのだろうかと考え込んでいる氏橋の肩を、とんとんと誰かが叩いたのだ。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
