No.299 ページ32
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「なんでここに？」と呆れた様子の中村が兄を睨む。
「今、双子ちゃんのお守り中なんだ〜。夏祭りに行ってみたいって言うからさ〜、エミさんも用事があるってついてきてくれないし。」
「育児放棄だよ、全く」とケラケラ笑って、修也はテーブルにかき氷を置いた。
「それで告白だって、美江ちゃんに？
無理無理！君、あの子に何してあげられるっていうの？」
ズキン！と氏橋の胸が痛む。「なんでそんなこというんですかっ！」と和葉が立ち上がって声を荒らげた。
「そうちゃんを選ぶかどうかは美江ちゃんが決めることですから、お兄さん関係ないでしょ！」
「じょ、情報屋、いいんだ…座ってくれ」と窘める氏橋に「でも！」と食い下がる和葉。心無い一言をさらりと流せるほど、和葉も大人ではない。それは傷ついた氏橋だって同じだ。彼が言えないのなら、代わりに言ってやりたい。
和葉の怒った表情に、修也は一瞬理解できないといった顔をした。しかしすぐにそれは微笑みに変わると「確かに〜。情報屋さんの言う通りだね、ごめん」と素直に謝罪が出てくる。あんりにもすっと出てきたものだから、和葉の怒りもしぼんでしまった。
「そういうことだから、どっか行ってくれる？」
肘をついて中村がシッシッと修也を追っ払った。修也は苦笑しながらかき氷を持ち直すと、「お邪魔しました〜」と言って屋台の明かりの中へ消えていった。
「そうちゃん…」
和葉はしゅんと落ち込んでしまった氏橋の背をさする。
「あ、いや…気にしないでくれ。確かに今の俺ではアイツには力不足だろうから、これから役に立てるように頑張っていくつもりだ。」
寂しそうに笑う氏橋に、和葉はとても悲しい気持ちになった。好きな人のために努力する姿勢は、たとえどんな理由があったって笑われていいはずがないんだ。
「あたしも必死に頑張って、それでも敵わない人がいるって何度も挫けたことがある。でも、その度にあたし、もっと可愛くなろうって強くなれた。」
和葉は氏橋の手を握る。
「だからそうちゃん、嫌なことあってもそれを踏み台にして高く飛ぼうっ！」
「マイナスはスパイス！」と、いたずらに笑う和葉。氏橋は「情報屋…」と和葉の言葉に胸を打たれ、鼻をすすって立ち上がった。
「よし…絶対絶対、宮野を振り向かせるぞーッ！」
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
