No.298 ページ31
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「しーくんって、誰よりも桐ヶ谷くんが好きみたい。」
「は〜？やめてよ気持ち悪い〜」と笑い飛ばした中村。もしかしたら和葉の敵は師匠である桐ヶ谷葵であったのかもしれないと思い、おかしくなってまた笑った。
その後わたあめも調達して待ち合わせのベンチにやってきた二人。氏橋と美江はすでに座っていたが、遠目から見ると二人とも黙ったまま何も話していない。
「何恥ずかしがってるんだか…」と呆れる中村。
二人は中村たちの姿を見つけると同時に「遅い！！」とクレームを入れる。
「はいはいごめんね〜」とさりげなく美江の横に座る中村。「あ…」と絶望する氏橋の顔を見ながら、いじめっ子のような笑みでわたあめをむしゃむしゃ食べる。
「そうちゃん、焼きそばひとつ余ってるからどうぞ！」と和葉は可哀想な氏橋に差し入れを入れた。
「聞いてちょうだいよ！コイツ、小銭がないからって私に払わせたのよ！信じらんない！」
「なッ！両替して返したじゃないか！」
ジリジリといがみ合う二人。きっとこれが仲良しと言うのだろう…と和葉は一人焼きそばをすすった。
＿＿＿＿＿＿
夕食をぺろりと平らげて皆が腹をさする中、美江は立ち上がって「行ってくるわ」と告げた。
「八時には終わるからステージ前で待っていてちょうだい。私たちの演奏、聴いてくれるでしょう？」
「もちろんっ！」と手を叩く和葉。実はまだ一度も吹奏楽部の発表に顔を出したことがなかった。
美江がいなくなってから一息つき、静かになったところで氏橋は「作戦内容だが…」と口を開く。肘を着いて組んだ両手に顎を乗せる彼に、和葉はこくんと喉を鳴らした。
「演奏が終わったあと、我々は肝試しに向かう。グッとっパーで二人組を作るから、中村と情報屋は毎度同じ手を出してくれ。」
「そしたら自然に宮野と俺が一緒になれる…」と悪どい顔をする氏橋に、「不自然極まりないけどね」と中村が呟いた。
「それで吊り橋効果も高まってきた頃に俺は、俺は……！」
「告白？」
「そうだ、告白だ＿＿＿＿って、ん？」
「やあ」と背後から両手にかき氷を持って現れたのは、なんと修也だ。右手にはブルーハワイ、左手にはイチゴシロップのかき氷を携えている。
「ヒェッ…しゅ、修也さん……」と明らかに肩をすくませる氏橋。彼は修也が苦手なのだ。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
