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No.293 ページ25

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「とりひき、にく…?」と完全に頭をやられた氏橋がのぼせ顔で呟いた。

「違うよ、取り引き!あたしはしーくんとデートしたい、そうちゃんは美江ちゃんとデートしたい。つまりこれは巧妙な、仕掛けダブルデート作戦…」

「だぶるでーと、さくせん…」

ぐるぐる回った目の奥で、氏橋は和葉に釘付けにされる。深紅の瞳が綺麗な、七月のガーネットのような和葉。氏橋の様子がおかしいことに気づき、和葉は「そうちゃん?」と声をかけるが反応しない。

「そうちゃん?_____そうちゃーーーんっ!!」

氏橋はぷしゅーっと蒸発して、公園のベンチに寝っ転がった。




________


「しーくん!!助けて!!」

和葉は氏橋を抱えて、中村の家まで突っ走った。

「俺んちはそうちゃんの駆け込み寺じゃないんですけど〜」と言いながらも、中村は二人を家に入れてくれる。リビングには珍しく修也と、絢瀬双子の姿があった。

和葉は分が悪いと思った。絢瀬双子がいてはダブルデートの誘いが出来ない。背中にのぼせた氏橋を背負いながら、「し、しーくんの部屋に寝かせないと、そうちゃん死んじゃいそうだなあ!」と一芝居打つ。

「…え?」と、いつになく真面目に中村が返した。

それを聞いていた修也がソファからくすくすと笑いをこぼし、「寝かせてあげなよ」と和葉の芝居に乗っかった。修也は和葉の心の内を知っているのだ。

「お前が退けばソファで寝れるのでは…」とぶつくさ言いながら、中村は和葉から氏橋を貰い受けて、担ぐようにして二階に上がって行った。和葉は振り向き際に修也に頭を下げる。絢瀬がその光景を不思議そうに眺めていた。

「重かったでしょ、やれやれ」と言って、中村は氏橋を自室のベッドに放り投げる。「あふん」と氏橋から可哀想な声がした。

「いや全然ちっとも!っていうか軽すぎてあたしが絶望したくらいだよ…」

美江からもやしと言われているだけあって、氏橋は和葉でも簡単に持ち上がるほど軽い。和葉は自分の腹をさすり、痩せることを決意する。

「って、そんなことより!しーくん明日ヒマ!?」

「明日?」と中村は氏橋の靴下を脱がせて丸める。

「暇だけど、夏祭りでしょ?」

「そう!一緒に回らない?さっきそうちゃんとも話しててさー!」

中村は考える素振りを見せて、「でもそうちゃんは宮野ちゃんと行くんじゃないの?」と聞いた。


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そちゃ(プロフ) - おい氏橋!ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (レス) @page46 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2023年3月15日 23時

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