彼の目に見えるは、宝石。 ページ23
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八月二十四日、夏祭り前日だ。
氏橋は総合公園に屋台の取り付け準備が始まっているのを見つけて、どきどきと胸を鳴らした。今日中に美江と約束を取り付けなければ、明日のデートは完全におじゃんになる。
さてどうしたものかと困っていると、まるで狙ったのかというタイミングで和葉の姿が見えた。和葉は公園の真ん中で小学生の男の子たちと遊んでいる。その中に、なんと自分の弟もいたので氏橋はなんの迷いもなく声をかけることが出来た。
「けいちゃん、何してるんだ」と氏橋は不審者のように遠くの木陰から弟へ声をかける。
「あ、そうちゃん！」とにこにこした弟がやってきて、「今ね、ミキレンくんのお姉ちゃんに遊んでもらってるんだ！」と親切に教えてくれた。
「ミキレン…？友達か？」
「あれっ？そうちゃんじゃん！」
ちびっ子が怪しい人影と喋っていることに不審がって、氏橋の存在にようやく気づいた和葉が駆け付けてくる。「よ、よう」と何故かそわそわしながら氏橋が片手を上げた。
「やっほー、ケイタロウくんと知り合いだったの？」
和葉が二人を見比べて聞く。
「僕のお兄ちゃんです！」と、ケイタロウがはにかんで答えた。
「え、えぇええ！？」
雷が落ちたような衝撃を受ける和葉。天使のような愛らしいケイタロウ少年に、こんな中二病全開のアイタタ兄貴がいたなんて。
「に、似てないねー…」と笑顔を引き攣らせるのが精一杯で、和葉は苦笑いでケイタロウの頭を撫でる。
「おい和葉！おまえ鬼だからー！」
弾けるような声が遠くから聞こえてきた。
「呼び捨てすんなーっ！」
深くため息をついて、「アイツあたしの弟。ほんと交換して欲しいわ」と和葉は肩を落とす。「ミキレンくんだよ」と傍でケイタロウが笑った。
「三城レン、弟の名前。みんなからミキレンって呼ばれてるんだけど何故かケイタロウくんだけ君付け…優しいなあキミは〜！」
がしがしとケイタロウの頭を撫でて可愛がる和葉に、「なッ、そッ、はぇ？」と何故か氏橋が顔を赤くする。仕舞いには「やめ、やめろ情報屋ァ！」と言って弟と和葉を引き離した。
「お兄ちゃん…？」とキョトンとするケイタロウに、「今あった事、お母さんに言っちゃ駄目だぞ…！」と念を押す氏橋。和葉は「スケベはそうちゃんだからね」とじっとりした視線を送った。
「なッ！ど、どういう意味だ！」
「べっつにー。それで、何してたの？」
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
