No.287 ページ18
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美江の横でアシスタントをしていた里奈が、「出なくていいの？」と氏橋を気にしている。彼は未だに玄関をガチャガチャと鳴らし、「中村、中村ァ！」と怨念に満ちた唸り声を上げていた。
「いいのよ、放っておきましょ。」
「そうしたいとこだけど、これじゃあご近所さんにあらぬ誤解を生んでしまいそうだからな〜」
怠そうにリビングから出ていく中村。「そうちゃん、どうしたんだろうな」とアインが玄関の方を覗いた。
「しーくんに親でも殺されたのかってくらいの怒声だったね！」
「有り得るわね」
「有り得るの！？」
「ほら、動かない！」と美江は恵林の顔を両手で掴む。恵林は床屋のおばちゃんに髪の毛をカットされている時を思い出して、微妙な顔をした。
一方玄関では氏橋がとてつもない剣幕で「中村ァ！」と吠え続けていた。吠えてはいたものの、中村としか口にしないため何が言いたいのかさっぱり分からない。
「中村ァ、中村ァ！」
「はいはい、はい。」と中村は氏橋の肩を叩く。しかし氏橋はそれをパシン！と振り払って「ナカムルァ！」と巻舌でまくし立てた。
「やだこの人…鳴き声が俺の名前なんだけど〜」
ちょうどそこに「ふむふむ…」と言って大袈裟に踵を鳴らしながら誰かがやってきた。
「ズバリ！そうちゃんは、美江ちゃんをしーくんに盗られたと思って怒っているんだねっ！」
「ナカムラァ！！」と泣きながら頷く氏橋。その横から探偵気取りの赤毛の情報屋が、したり顔で現れた。
「三城ちゃん、どうしてここに？」と和葉の登場に驚く中村。
「ふふん、情報屋を舐めないで頂きたい。晩餐会の集会があるって聞いて、駆け付けちゃいましたー！またあたし抜きで始めようとするんだもん、あったま来ちゃうよねー。」
和葉はそう言って氏橋の背中を押しながら中村の家に上がると、「ほらそうちゃん、美江ちゃんはただ集会に来ただけだよー！」とリビングの様子を見せる。
「み、宮野…」と、ようやく氏橋は中村の名以外を口にした。
「宮野ォォ！」
「なによ！うるさいわね！今大事なところなの、邪魔しないで！」
「宮野…」としょぼくれる氏橋。「そうちゃん、一緒にゲームしようぜ！」と見兼ねたアインが困り顔で手招きした。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
