No.285 ページ15
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「そうそう、手紙書けたか？一緒に渡しに行こうぜ！」
ブイサインを作って恵林に突き出すアイン。恵林はその指の先を眺めながら、「そうだった……手紙！」と頭を抱えて崩れ落ちた。
「まだ書けてないの、書き方教えて！里奈！」
「わ、私…！？」
「もうなんて書けばいいのか分かんないよ！何書いても謝罪文になっちゃうし…」
うわーんと駄々をこね里奈にくっつく恵林。
里奈は申し訳なさそうに恵林の背を撫でると、「ごめんね」と小さく謝った。
「…無理に書かなくてもいいんじゃないかな。本当にごめんね、私が余計なこと言っちゃったから…」
「違うの！」と背筋を伸ばす恵林。
「書きたいの、手紙！」
真っ直ぐな青い瞳がきらりと輝く。里奈はその澄んだ両眼が大好きだった。
「じゃあ、一緒に考えよう。」
優しく微笑む里奈。恵林は嬉しくなって泣いてしまいそうになった。
「…うん！」
一人じゃ難しかったことも、誰かとならできるかもしれない。そう思えたら、未来が少し明るく見える。
「俺も書くよ、葵に手紙！」と言いながら、アインは内心ほっとしていた。上手く話が逸れたからだ。
「お待たせー！冷たくて美味しいアイスティーよ〜！」
後ろから母親の声がする。「じゃあ今から手紙書きに行こうぜ！」と言って、アインは慌てて二人の背を押して家を出た。
「え！？ちょっとアイン！」と驚いている母親を置いて、アインは玄関の扉にしっかりと鍵をかけた。
＿＿＿＿＿＿
「葵が入院しているのはここ。」
恵林は総合病院の前で立ち止まって指をさした。すぐ横に作られた大きな芝生の公園からは、子供たちの賑やかな声がする。油蝉もわんさか鳴いて、より一層夏の温度を上げていた。
「よーし、今行くからなぁ…」
「ちょっと待って、私はこのままじゃ入れない。」
「ハア？なんでだよ」
恵林は桐ヶ谷の母親から面会拒否されていることについて説明した。口に出す度に心がズキズキと痛む。恵林は桐ヶ谷に会いたいだけであって、危害を加えるつもりは毛頭ないのに。
「私は変装してしーくんと一緒じゃなきゃお見舞いに行けないから、アインが行くならここで待ってる。それにまだ、手紙も書けてないし…」
恵林はポケットに手を突っ込んで里奈から貰った便箋を探した。けれど、自宅に置いてきたことに気がついてため息をつく。
「なら俺も今日はいいや！」
アインはそう言って、明るく笑った。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
