No.282 ページ12
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「ボクは恵林センパイのこと、とっても尊敬しているんです！なぜなら恵林センパイは、誰かのために一生懸命で、勇気があるからです！ボクも後輩が出来たら、頼ってもらえるような自慢のセンパイになりたいな〜！」
訳もなく恵林はしずくを疑っていた。その言葉一つ一つが嘘に聞こえるのは一体何故だろう。
よく出来た容姿によく出来た言葉。何もかも完璧に見えるからこそ少しは偽りであって欲しいという恵林の劣等感の現れだ。
彼女が本物の"完璧"なら、恵林の居場所が無くなってしまう。
そう思った。
「私も…誰かに頼って貰えるような、自慢の友達になりたい。私がひとのために頑張れるのは、私を必要としてくれるのが嬉しくて嬉しくて堪らないから。そう思ってもらえて初めて、私は私が生きていることを許せる＿＿＿＿」
「許せる？」と、しずくが聞いた。
恵林は顔を上げて「ううん」と首を振ると、「ここに居ていいんだなって思える！」と言い直した。
…なにか言い訳を述べるのは簡単だ。けれど、それでは何も進まないと思って、恵林は意を決して自分の気持ちをしずくに話してみようと思った。
「しずくちゃんのこと、まだよく分からない。分からないからこそちょっと怖いと思ってる。だから、これからたくさん知れたら良いな。」
そう言った恵林の笑顔は、やはりまだぎこちなく下手くそだった。
しずくは口元だけ笑っていた。
「怖いだなんて、そんな寂しいこと言わないでくださいな！ただ恵林センパイより、ちょっと頑丈に産まれてきただけですよ。」
軽い。
身構えていた恵林の横を、さらっと吹き抜ける風のような軽さだ。
恵林が「それってどういう…」と迷っているうちに、しずくは花びらのようにひらりと舞い、アインたちの方へと駆けていく。
深い川の、ずっと向こう岸まで離れていくような感覚だった。恵林の気持ちは、きっと伝わっていない。伝わっていたとして、恵林が送った心の重さとは掛け離れた重量で届いているような気がした。
＿＿＿わかってもらえなかったのかな。
恵林は急に心細くなった。まるで異国に取り残されたように、誰の言葉も分からなくなった。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
