No.272 ページ2
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「おーい、エリン！」
里奈の時とは大違いな雑っぷりで、アインは恵林の家のインターホンを連打する。
「いないのかな…」
「そんなわけないよ、恵林は暇人だからな。」
しかし一向に出てこない。里奈は携帯をバッグから取り出して、「電話してみようかな…」とアインに聞いた。
「じゃあ俺も！二人でかけようぜ」と彼の全くの無駄な提案を頷き一つで受け流す里奈。
二人が携帯を耳に当ててしばらくすると、何やら玄関越しにドタバタと大きな足音が響き出す。
「おい！！居留守使ってるんだから立ち去れや！」
思いっきり開いたドアから、ゼーハーと呼吸を乱しながら恵林が姿を表した。
「ビンゴ！やっぱり居たなー！」
「ビンゴじゃねーよ！こっちは傷心中だっつーの！！」
ビシッとアインを指さしてぷりぷり怒る恵林。
「大丈夫…？」とそんな彼女を心配して、里奈が横からひょっこり顔を出した。
「桐ヶ谷くんの話きいたよ、大変だったね」
桐ヶ谷の名に反応し、あからさまに肩を落とす恵林。「あ……うん……」と元気の無いため息混じりな返事をして視線を下げた。
アインは慌てて「あー、そうだ！俺たちお前を遊びに誘いに来たんだよ！」と空気を変えようと奮闘する。
「どうせ暇だろ？付き合えよ！」
「暇じゃないよ、今日も明日も明後日も、葵に会いに行かなきゃ…」
「葵は大丈夫だって！絶対すぐ元気になるからさ。」
「どうして言いきれるの？」と疑うような目でアインを見上げる恵林。
アインは困った顔をして、「そりゃー、なんだ。人は簡単には死なないよ」と歯切れの悪い答えを出す。
恵林はまた一つ大きなため息をついて腹を抱えた。
「不安なんだ。葵は私のせいでこうなってしまったんじゃないかってずっと考えてる。私が無理やり葵を連れ出したから。だから、毎日葵の顔を見て安心したいんだ、今日もただ眠っているだけだったって。」
はあ、とその場にしゃがみこむ恵林。くしゃくしゃな髪が、すっかり顔を覆い隠してしまった。
「おかしいね。初めは葵の病室に行くたびにまだ目を覚まさないって絶望してたのに、最近は違うんだ。最近は…眠った顔を見て、まだ死んでなくて良かったって安心してる。」
「私が怖いのは、このまま葵が死んだら私が殺したことになるんじゃないのかってことなのかも」とニヒルに笑う恵林。
里奈はかぼそい声で「恵林…」と彼女の名を呼んだ。
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そちゃ(プロフ) - おい氏橋！ついにやりやがったな...と、友達目線で読んでました。今回のお話はキャラのらしさ全開で読んでて楽しかったです。アインくん不穏でしたが彼ならきっと乗り越えられると願ってます....続き楽しみにしてます。 (2023年3月22日 21時) (
レス) @page46 id: 970cecf5ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2023年3月15日 23時
