No.144 ページ6
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目の前にいる生徒たちが困惑しながらマウスピースやリードを口に当てる姿を見て、修也はニタニタと面白おかしく笑った。
「3つカウントしたら、自分の好きな音を息が続くまで伸ばしてください。はい！さ〜ん、に〜、いち！」
当たり前と言うべきか、ほとんどの楽器の音が聞こえてこなかった。ほんの数名がビクビクしながら吹いているが異音ばかりで聞くに耐えない。
数十秒後、最後の一人が息を切らして何も聞こえなくなったところで、修也はパンパンと手を叩いた。
「今吹いた音を、今後なにがあっても絶対お粗末にしないこと。自分の好きな音を一番に愛してね〜」
「あ、それと」とマシンガントークで修也は人差し指を立てる。
「好きな音を一瞬で出せないのは演奏家として最低なので、まず好きな音を見つけるところから頑張りましょ〜。」
「つまりここにいるほとんどの皆さんが最低最悪です〜」と続けた修也。場の空気がピシリと凍てつくのが恵林にも分かる。
「コホン…」と咳払いをした顧問も何か言いたげだが、目を瞑るようだ。
そんな時、「あの」と窓際で大きく手が上がった。
恵林はその人物がフルートパートの自分の後輩であることに気がついて内蔵がヒヤリとする。
二年生のしっかり者、メイだ。
恵林がいない間ずっとフルートパートをまとめており、次期部長とまで囁かれている頼もしい少女である。
「中村先生はなんの楽器をなさっているのですか？」
そう言ったメイだが、口調は修也を敵視するようにキツく、いきなりやってきた変わり者の彼の良否を皆の代わりに見定めているようだった。
「今から自己紹介するので聞いといてください〜。」
修也はにこりと笑ってメイの方へ歩いていった。
いきなり近づいてくるものでメイは顔を強ばらせて身構えたが、彼の体はすぐ目の前まで来るといきなり横を向き、準備室へと入っていく。
そして、「この辺かなあ〜」と中でごそごそ動き始めた。
しばらくして修也は埃っぽい楽器ケースを一台もってきてまた壇上に上がると、そのケースの中からバイオリンを取り出し、左肩に乗せて構えた。
「はい、初めまして。中村修也で〜す。
吹奏楽部で扱う楽器なら基本的にはどれもそれなりに演奏できます。小さい頃から触れていたのはバイオリンなので、いちばん得意なのは弦楽器です〜。」
「この学校は、バイオリンもコントラバスも状態が悪いまま放置しているみたいで悲しいです〜」と続ける修也。顧問がまた一つ咳払いをした。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
