No.170 ページ36
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部活も終わり、音楽室の前で待っていた中村と合流した恵林と美江は、晩餐会に向かうため歩き始めた。
桐ヶ谷が来ていたことを美江に伝えた恵林だったが、理科室の扉を開いた先に、彼の姿は見えなかった。
その代わりに「おかえり」と氏橋や和葉、里奈。そして絢瀬双子が腰掛けている。
「あら？桐ヶ谷は？」と美江は首を傾げた。
「それが、晩餐会が始まる前に帰ると言って居なくなってしまったんですよ」
絢瀬はそう言って頬をふくらませた。
「俺達も会えてないんだ」と氏橋が肩を落とす。
桐ヶ谷の奇怪な行動に頭を悩ませながら、恵林は黒板の前の席に座った。
「アインもいないよーうっ！
木下くんに連れてかれちゃった」
ペターっと机に突っ伏した和葉。
アインは部活のあとの時間…つまり晩餐会の時間に陸上部の練習をさせられているようだ。
結局今日一日、ほとんど彼と話せなかった。
恵林の心にまた日陰ができた。それを察したのか、「帰りは一緒に帰ろうって、アインが言ってたよ」と里奈は恵林に声をかけた。
「一緒に帰ってくれるかな、そのまま木下と帰っちゃったらどうしよう」
「それは大丈夫っ！」と横から和葉がブイサインを見せる。
「なんてったってあたし、体育館にあったアインの着替えを盗んで教室に置いてきたんだもん！」
「探しに戻ってきたときにまた、一緒に帰ろって誘えばいいよ！」と和葉は大きく口を開けて笑った。
ちなみにこれは以前桐ヶ谷に教わった策略だ。あの時はクリスマスで、和葉はアインをクリスマスデートに誘うために長い間教室で彼を待ち伏せしていた。
「そ、そんなことして大丈夫なんですか？」としずくは慌てた顔をする。
「いいのいいの！師匠だってやってたし！」
「師匠？」と首を傾げたしずくに、「桐ヶ谷のことだ」と氏橋が答えた。
「へぇ！葵センパイって、案外イタズラなところあるんだ…！」と、新しい発見に嬉しそうにはにかんでいるしずくを遠くから眺めていた恵林。
訳もなく心の天候が悪化する。今日は気に触ることがいちいち多い。
珍しくイライラしていた恵林は、その後ほとんど喋らないまま座って時間を過ごした。
里奈は終始そんな恵林を気にかけていて、彼女の横に座ってはたまに話しかけていたが、「なんだか体調が悪い」と恵林が零してからはどうしていいか分からず黙ってしまった。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
