No.168 ページ34
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「はい！」と答えたしずくと、桐ヶ谷の「遊んでないです」が被ったが修也は気にせず「良かったね〜」と微笑んだ。
「シュウヤ！お前、恵林センパイをいじめるな！」
絢瀬はびしっと人差し指を修也に突き出す。
修也は「いじめてないよ！」と満面の笑みで答えると、恵林の前にしゃがんだ。
「ごめんね、恵林ちゃん。なんも考えずに喋ってたからあんまり覚えてないんだけど、怖かったよねえ〜…」
そう言って恵林の片手を握る修也を、恵林は困惑した様子で見下ろした。
「いや、こちらこそ、すみませんでした…」
「美江ちゃんから聞いたけど、吹部辞めちゃうの？」
「あっ…そのー……」と恵林は周りに助けを求めようと視線を送る。しかし、恵林が何か答える前に修也は「恵林ちゃんがいないとやっていけないよ〜！」と、先程とはまるで正反対なことを言った。
「メイちゃんとも話したんだけど、彼女には別の場所のソロを担当してもらうことにしたよ。だから、もう何も心配せずに演奏して欲しいな〜。」
「おねがい」と修也はあざとく首を傾げる。
恵林は片手から伝わる、修也の冷たい体温に眉根を寄せた。
「…私も、修也さんに言われて気づきました。メイちゃんに嫌われたくないのは確かだし…。だから、メイちゃんが納得してくれているのなら、ソロやりたいです。」
「そんなこと言ったっけ？」とケラケラ笑いながら修也は立ち上がると、恵林の手を引いて理科室から出ようとした。
「ねえ、俺には用無し？」
中村は座ったまま兄を睨んだ。
「…紫苑、居たの？」と振り返った修也は目を丸くして笑う。
「居たのって……最初からずっとここに座ってましたが？」
「ごめ〜ん、気づかなかったよ、一緒に戻ろうか。」
「修也様、体調でも悪いのですか？」としずくは不安げに聞いたが、修也は首を横に振り「ありがとね」と微笑んだ。
「じゃあ桐ヶ谷くん、恵林ちゃん借りてくから、二人のことよろしくね。」
修也は最後に双子の面倒を桐ヶ谷に押し付けると、弟と少女を連れて理科室から出ていった。
「ハーメルンの笛吹き男、みたいですね！」としずくは廊下を進む彼らの背中をじっと見つめる。
「知ってますか？葵センパイ」
くるりと振り返ったしずくの無邪気な瞳に、怪訝そうに押し黙った桐ヶ谷が写った。
「修也様にさらわれて、誰も戻ってこなくなっちゃったりして！」
しずくのすぐ側に絢瀬がくっついた。
双子は月のようにまん丸な両目で、桐ヶ谷をじっと見つめていた。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
