No.165 ページ30
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単純に修也の喋り方や距離の詰め方が怖いわけではない。
恵林が無意識的に恐れているものを全て見抜かれていたことがまた気味が悪いのだ。
言われてみればそうだ。
自分より下手くそな人間にソロを奪われて、メイが恵林をよく思うはずがない。
恵林はフルートパートに自分の居場所が無いことを悩んでいるのに、更に居づらくなってしまえば大変な事態だ。
それに、メイは周りの生徒からも頼られる存在。そんなメイに嫌われては、ドミノ倒しのように大勢から白い目で見られることになるのは避けられない。
そうなれば、また不登校に逆戻り。
もうあんな思いはしたくない。
「
恵林は床に敷かれたカーペットを見つめながらぽつりと呟いた。
「…修也さんは昔からああいう人よ。私もよく嫌味なことを言われたわ」
美江は苦笑しながら恵林の背中を撫でた。
その横で中村も「音楽のどれいみたいな奴だからね」と修也を罵り、窓の外の青空を眺める。
「私、吹部抜ける…」
大きな金管楽器の重低音の中、小さな か細い声がして美江は驚いて目を見開いた。
「やっぱり私にはソロはできないし、ここには居場所がないから…」
「そんな…っ！何言ってるのよ！」と、美江は恵林の両肩を掴んで揺さぶった。
しかし、ようやく彼女の顔が見えたかと思えば美江の手はぴたりと動きを止める。
「うっ…」と恵林は嗚咽をこぼし、瞳いっぱいに涙を浮かべて美江の目を見つめた。
恵林は泣いていたのだ。
じゅるりと鼻をすすって力なく立ち上がると、恵林は泣きながらとぼとぼ音楽室の扉を開いて出ていった。
「ちょっと、恵林！」
「宮野ちゃん」
慌てて追いかけようとした美江を、中村が引き止めた。
「俺が行く」と彼は一言そう言って、早足で廊下へ飛び出す。
「中村…」
美江は彼の背中を、扉が閉まるまで不安げに見つめていた。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
