No.162 ページ27
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修也は廊下を歩きながら、校舎内を有意義に眺めていた。
廊下は蒸し暑い。行き交う生徒たちは皆半袖半パンの体操服で、苦しそうに呼吸をしながら走り去っていく。
それを面白がって笑いながらふと昔のことを思い出した。
この地域には弟の紫苑が産まれてまもなく越してきたため、丁度修也が小学校に入学する頃と被った。
緑ヶ崎小学校は幼稚園からエスカレーター式で上がってきた子供が多く、そして両親の熱心な英才教育のお陰で全く友達ができなかった修也。
遊び相手は常に弟で、よくからかって遊んでいた。
けれど、だからと言って友達が欲しいだなんて一度も思ったことはない。修也が望むものは、誰もが畏怖する完璧な才能。
どの分野においても、何をしても、飛び抜けて一番でなければ自分の存在価値は無い。
それが、少年時代の修也が見つけた自分への答えだ。
「こんにちは〜、ここはクラリネットさんかな？」
修也はとある教室の扉を開いて微笑んだ。
中から肩を強ばらせて「はい！」と美江の声がする。
「修也さん、ご指導よろしくお願いします！」
美江の挨拶に遅れまいと後輩たちも頭を下げた。
「今は先生だよ〜」と修也はケタケタ笑って美江の元へ向かうと、緊張している様子の彼女にメトロノームを渡した。
「それセットしといて。＿＿＿…はい、注目〜！」
パンパンと手を叩いてクラリネットパートの部員達に呼びかける修也。
フルートの時と同様ロングトーンの練習を済ませると、黒板に中村紫苑主演の物語の冒頭を書き始める。
ほぼ同じ説明を繰り返し伝えた修也は「曲に自分の好きな物語を考えておくこと。」と、まとめてパート練習を閉めた。
「美江ちゃん」
修也は時計を見ながら美江に手招きした。
「は、はい！」
「これから恵林ちゃんとソロの練習、大丈夫？」
修也が首を傾げる。美江は顔を引締めると力強く頷いて、修也と共に教室を出た。
二人は無言のまま二年生の教室に向かい、恵林を呼んで音楽室に戻る。「あの…」と恵林はクーラーの下で準備を始めた修也に、言いにくそうに声をかけた。
「やっぱり私、ソロはできない…です」
「ええ、どうして！？」と一番に美江が声を上げた。
「だって、もともとメイちゃんのソロだよ」と視線を逸らしながら答える恵林に、美江は不服そうに顔を顰めた。
「いいじゃない。私、あの子よりあなたと一緒に吹きたいわ。」
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
