空蝉時雨、片足の鬼。 ページ19
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修也のことをとてもよく慕っているのは、美江の言動や表情からひしひしと伝わってくる。
第一理科室に向かう間、彼の話を永遠に聞かされていた恵林にとっては、プライドの高い美江がここまで真剣に目を輝かせて喋る姿は珍しいものだった。
修也のことをどうも好きになりきれない恵林は、ぎこちなく相槌をうち廊下の窓から外を眺めて歩いていた。
しかし、残りほんの数メートルで目的地という辺りで、「何してるのよ！」と突然美江が横から声を上げた。
しかしどうやら恵林に向けた言葉では無さそうだ。
彼女の鋭い視線の先を追って前を向くと、お馴染みのメンバーが揃いも揃って理科室の中を訝し気に覗いていたのだ。
二人に気がついた和葉が慌てて「シーッ！」とジェスチャーする。
「どうしたの？」と恵林は小声で様子を伺いながらメンバー達に近づくと、「見ろよ」とアインが閉まった扉の窓の先を指さした。
恐る恐る覗いてみる。
と、そこには窓際で一人座っている男子生徒の姿があった。
もう部活も終了時刻を迎えている。とっくに下校時間だというのに、彼は一体何をしているのだろうか。
電気もつけず、微塵も動くことなく険しい表情で黒板の方を眺めている。
「木下が何の用だ…」と氏橋が呟いた。
木下？恵林は理科室の少年に目を凝らした。
確かにあれはA組の木下だった。
彼といえば去年の体育祭で散々酷いことをしてきた陸上部のエース。
前田と同様、晩餐会反対派のはずだ。
恵林の表情が曇った。
リーダーとして、自分達の居場所を守らねばならない。ここは、あんなやつにズタボロにされていい場所ではないのだ。
しかし怖い。酷く恐ろしい。
到底口喧嘩では敵わない、手も足も出せない。
それにD組を落ちこぼれだと罵る相手だ。
そんなやつが何故ここに？
「恵林…大丈夫？」と、里奈の心配する声がして、恵林は「いや、どうしよう…」と珍しく弱音を吐く。
「ここは強いしーくんがっ！」と彼の背中を押す和葉。
「う〜ん、俺アイツ苦手で…」
中村も、柄にもなく目を逸らした。
「何度かぶん殴っちゃってるし…」と小さく呟いた言葉は、幸い誰にも聞こえていなかったようだ。
「なによ！皆して情けないわね！」
そんな時、腰に手を当てて美江がキッと顔を顰めた。
氏橋は教室内をじっと観察しながら渋い表情で口を開く。
「しかし相手は木下だぞ…油断してかかればどうなることか＿＿＿＿ってオイッ！宮野ッ！」
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
