No.155 ページ18
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誰のせいとか、誰のせいじゃないとか、そういう事は全く関係ないはずなのに。
人を慰める時ってのは一体、どうして気の利いた言葉が使えないのだろうか。
「そろそろ帰りましょ！結構サボっちゃったわね」と美江は人差し指を唇の前で立てた。
この話は内緒、とでも言っているようだった。
恵林は頷いて空いている片方の手で譜面台を持つと、両手を塞いだまま階段を上っていく。
前を行く美江のスカートが、ふんわりと風で靡いた。
音楽室につくと、美江はいち早く号令をかけた。
「挨拶します！」と凛とした声が響き、部員達は「はい！」と大きく返事をする。
先に帰ったのか、中村の姿は見当たらない。
恵林は黒板の前でしゃがみこむ彼の兄を通り過ぎて、フルートパートの自分の席へと戻った。
それから美江の終わりの挨拶が始まり、最後に修也の「楽しかったで〜す」の一言で本日の吹奏楽部の活動が終了した。
「恵林先輩、お疲れ様です…」とマヤの か細い声が聞こえ、自分がいない間もずっとメイの心配をしていたのだなと恵林はマヤに「お疲れ様」と労りの言葉を送った。
楽器と譜面台を準備室に片付け終えると、恵林は未だ修也と何か話している美江を廊下で待つことにした。
吹部員はリュックサックなどを隣の視聴覚室のロッカーに置いてから部室に向かう決まりで、多くの生徒がそこからぞろぞろと下校のために出てくる。
蒸し暑い廊下でぼんやりとそれを見送る恵林を、午後六時でも煩いくらいに溢れる蝉の喧騒が侵食していく。思考回路が遮られ、ただただ額の汗が鬱陶しい。
音楽室のエアコンはまだ効いていたが、しばらくいると肌寒く感じるほどの室温でとても長くはいられなかった。
ほとんどの部員が帰ってしまって、辺りの電気も消える。西陽が恵林の影をどんどん色濃く、そして長く伸ばしていった。
少しして、最後の数人の生徒を連れて美江と修也が笑い合いながらやってきた。
美江は最後に音楽室と準備室に鍵をかけ、後ろにいた顧問にそれを渡す。
「恵林ちゃん」と、修也に声をかけられて恵林の心に生暖かい何かが滲んだ。
「紫苑をよろしくね」
修也は一言そう告げて、恵林に笑いかけた。
意識が遠のいていた恵林は一拍置いて「＿＿＿はっ、はい」と慌てて頭を下げる。
修也はそれに満足したのか、また微笑んで誰にも挨拶することなく階段を下りて行った。
「あら！？修也さんは！？」と美江が声を上げる。
「帰ったよ」と恵林はぽつりと呟いた。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» ゎゎゎ…いっぱい書いていただいてありがとうございます！伏線回収にそろそろ走りますよー！！！！！お楽しみに… (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 投稿お疲れ様です！！！中村家激推し回でしたね()個人的に和葉ちゃんの天然可愛さが尊すぎて最高でした.....!!!桐ヶ谷くんの話とかえりんの話とかしーくんの話も気になることが増えて次巻がとっても楽しみです🎶 (2022年2月13日 0時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2022年2月10日 8時
