No.9 ページ13
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「恵林先輩、本番三日後ですけど、大丈夫ですか？」
メイちゃんはそう言って薄ら笑いをこぼした。
「あー、うん！なんとかする！」
私は笑って返事をし、楽譜と楽器、譜面台をぎゅっと抱いて視聴覚室を後にした。
やっぱり気まずい...私は一人で練習しよう。
いろんな楽器の音色が廊下に響いている。
大きな金管楽器やドラム、そして後ろからはフルート。
階段を降りた先の二階の踊り場。
ここには誰もいないし、音楽室からも遠いから安心して練習できる。
一人で練習するには絶好の穴場だ。
フルートを構えた。
目の前の窓からはどんよりとした分厚い黒い雲が見える。
唇を冷たい管にあてがって、その中を温めるように優しく、しかししっかりと息を入れればピーっと耳を貫く高音が飛び出た。
譜面台に楽譜を開く。
まだ自分の音が辺りに響いているようだ。
難しい三連符が並んでいる譜面をぼーっと眺めて、私は一つため息をついた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「こーんなところにいたのね！恵林！」
私はハッとして目を開けた。
と、同時に階段から転げ落ちそうになった。
「み、美江さん...！！！！」
口の端からよだれが出ている！いかんいかん...！
「ちょっと！もしかして寝ていたの！？しんじらんない！」
「いや私もしんじらんないと思ったよ今！まさか部活中に寝るなんて...」
「もうその部活も終わったわよ！」と美江がぷんすか怒って私の元までやってくる。
おかしいな...学校で寝たことなんてほとんど......
...テストの時も寝てたな...。
「って、ええ！？終わっちゃったの！？合奏は！？」
私の横で譜面台と散らばった楽譜を片付け始めた美江は、「今回もあなたは不参加だったわね！」と嫌味ったらしく言って全部私に押し付けてきた。
楽器の底がカツンと階段に当たる。
どうやらフルートを抱いて寝ていたようだ。
「ほら、次は晩餐会でしょう？あなたは部長なんだからしっかりしなさい！」
「う、うわあ！」
美江に引っ張られて慌てて立ち上がった私は、バランスを崩しそうになりながらも階段を駆け上がり、美江に連れられて音楽準備室の前まで戻ってきた。
もう誰もいない。本当に終わってしまったようだ。
「あなたのために、最後まで鍵を閉めるのを待っていたのよ。」
美江はそう言って準備室の鍵を開ける。
高価な楽器がたくさん収納されているここは、部活の最後に戸締りをしっかりしなくてはならないのだ。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - ぬーん@低浮上さん» ええありがとうございます...！！絢瀬ツインズまじで尊いんですよ...ぜひ追っかけていただいて...()ふふふふふふ......() (2021年5月13日 21時) (
レス) id: d9493e2ae9 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん@低浮上(プロフ) - 2期…っ、2期が……！！(言葉を詰まらせる)(毎度コメントすみません)ハマった沼が深すぎて抜けられないです…！！絢瀬ツインズ尊い……好きがたくさん…。不穏な感じで終わったのでちょっと心配ですが、大丈夫だと信じて次巻もゆったり待ってます！ (2021年5月1日 15時) (レス) id: fa75c01212 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ※息を吸う(プロフ) - そちゃさん» きゃっ！！ありがとうございます！ぜひぜひみんなの成長を見守っててくださいね！！ (2021年4月19日 2時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
そちゃ(プロフ) - 待望の2期ありがとうございます！！！1期読み終わったのが3月で...ずっと待ってました。 絢瀬兄弟最高です....。けいとくんの気持ちめちゃくちゃわかりすぎます。部活になった晩餐会の展開とても楽しみです。2巻待ってます！！！ありがとうございました。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: bf330b1b47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2021年4月19日 0時
