No.482 ページ44
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また鶯がひと鳴きした。
行き交う通行人が素知らぬ顔で通り過ぎる中、氏橋はぶわっと涙で瞳をいっぱいにした。
要するに、桐ヶ谷は今氏橋に晩餐会メンバーになれと言っているのだ。
反応が遅れて、氏橋はポロリと涙を流す。
桐ヶ谷は瞬時に嫌な予感を悟った。
｢うわあああん！桐ヶ谷大好きだッ！愛してるッ！｣
目からも鼻からもべろんべろんに水を撒き散らしながら抱きついてくる氏橋に、尻もちを着く羽目になった桐ヶ谷は本気で嫌がるように彼を引き剥がそうと奮起した。
横で面白おかしく笑う中村は桐ヶ谷を助けようともせず、ただ手を叩いて喜んでいる。
道中で男子中学生が三人、道路に転がって騒いでいるのを見つけたのは、桐ヶ谷と中村を追いかけて教室を飛び出していった氏橋が二人の話し合いに邪魔をしないかと心配してついてきた美江だった。
美江は自分の心配が杞憂だったことに安堵し、そして呆れたように足を早めた。
｢何してるのよ！まったく！｣
美江に叱られた3人は一斉に顔を上げる。
号泣して桐ヶ谷に抱きつく氏橋とそれを引き剥がそうと嫌な顔をする桐ヶ谷、そしてただ腹をかかえて笑い続ける中村を見やって｢誰一人顔が違うわね｣とゴミを見るような目で感想を述べる美江。
氏橋は居てもたってもいられずに｢宮野聞いてくれ！｣と今度は美江の足に張り付こうとした。
｢なによ！気持ち悪いわね！｣
｢俺、俺な！晩餐会メンバーになったんだ！｣
｢いいから離れ…そうなの！？｣
美江は驚いた顔をした。
桐ヶ谷がOKを出したのだろうか。
｢よかったじゃないの、氏橋！｣
｢ああッ！ありがとう宮野愛してるッ｣
その横で中村が｢仲良しじゃん〜｣と水を差せば、ハッとした美江は氏橋を踏んずけてツンと顔を背けた。
｢それくらいで調子に乗らないでよね！
あんたって全然使えないんだから、ちゃんと役に立てなきゃクビだから！｣
｢えっ｣と氏橋が悲惨な顔をする。
桐ヶ谷は呆れて立ち上がると、｢先に帰る｣と素っ気なく言って歩き出した。
もうすぐ4月。
澄んだ3月のこの空気も、また新しく生まれ変わる。
｢待ってよ〜｣と自転車を漕いで追いかけてくる中村達を無視して、桐ヶ谷は花びらの舞い散る桜並木を一人進んで行った。
けれど、その顔は珍しく笑っていたとかいないとか。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - ぬーんさん» しーくんほんと沼なんですよ(自画自賛)シーくん推しですか！？一緒ですね！？！？2期頑張ります！！！ (2021年3月28日 20時) (
レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ※息を吸う(プロフ) - ぬーんさん» 今回もコメントありがとうございます…！妹さん不登校なのですね…不登校は金の卵なんていう言葉も聞いたことがあります。不登校の子って、周りが思ってるよりものすごい能力がある場合があるので、妹さんも今は好きなことに時間を費やして欲しい……！！ (2021年3月28日 20時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(プロフ) - しーくんは…んんんん幸せになって欲しいいいい！！ でも恵林ちゃんの鈍いとこも可愛いからよし！ これからもお体に気をつけて自分のペースで頑張ってください！ 二期も楽しみにしてます！！ (2021年3月27日 15時) (レス) id: ece645a423 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(プロフ) - 『今晩は。』一期完結おめでとうございます！ 恵林ちゃんが学校に行けるようになれて本当に良かった…！桐ヶ谷くんと二人で給食を食べるシーンすごく好きです…妹が不登校っ子なので、色々共感しながら読んでました！！ 感動！！ (2021年3月27日 15時) (レス) id: ece645a423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ※息を吸う | 作成日時：2021年3月7日 22時
