No.464 ページ23
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「まず第一に、今まで校則違反していた晩餐会が正式な活動になることで学校側に迷惑がかかりません。
そして、活動内容についてですが、学校の風紀の調査などを目的とします。
本校生徒全員がより良い学校生活を送れるように、全力でサポートするのがこの部活の役割となるでしょう。」
先生は何か考えるように黙ったあと、「生徒会長さんはその晩餐会に参加したことはあるの?」と聞いた。
「それは…ないです、けど」
だって桐ヶ谷にダメって言われたから。
氏橋はちらりと桐ヶ谷を見たが、彼はその視線に応えてはくれなかった。
「でも、傍から見てもこの2人はすごく変わりました。何が2人を変えたんだろうとずっと考えていてその結果、晩餐会にたどり着いたんです。
それに、僕自身も彼等と関わるにつれて自分を見つめ直すことができました。」
氏橋は膝の上で拳をぎゅっと握る。
「現在不登校である畑中恵林とも対談しましたが、彼女は何も、悪いことをしようとして不法侵入を繰り返している訳では無いのです。」
ここで言いたいことを伝えなければ、恵林に合わせる顔がない。
晩餐会は必ず俺が復活させてみせるんだ。
氏橋は心で再度誓った。
「それどころか、恵林はこの学校に革命を起こそうとしているのです。衰退した学校に活力を蘇らせ、誰にとっても明るく楽しい学校にしようとしています。
今のままではいけません!
前の教頭と似たような教員もまだいる、また同じ事件が起こるかもしない。
恵林の不法侵入は、いわばデモ行為なのです。
当たり前だけをこなし気に入らないものは排除されるこの学校への、反抗なのです!」
ガタッと音を立てて氏橋は立ち上がった。
立ち上がってからふと気づく。
驚いて惚けている先生と目が合った。
恐る恐る横に顔を向ければ、彼らもなんだか面食らったような表情をしている。
いかん、つい熱く語ってしまった!
氏橋は「あ、すみません」と早口で謝って席に着いた。
沈黙が続く。
それを割いたのは先生の方であった。
「…私、ずっと言いたかったことがあって。」
ポツンとそう呟いた先生の前髪が、窓から入った風に吹かれて静かに揺れた。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - ぬーんさん» しーくんほんと沼なんですよ(自画自賛)シーくん推しですか!?一緒ですね!?!?2期頑張ります!!! (2021年3月28日 20時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ※息を吸う(プロフ) - ぬーんさん» 今回もコメントありがとうございます…!妹さん不登校なのですね…不登校は金の卵なんていう言葉も聞いたことがあります。不登校の子って、周りが思ってるよりものすごい能力がある場合があるので、妹さんも今は好きなことに時間を費やして欲しい……!! (2021年3月28日 20時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(プロフ) - しーくんは…んんんん幸せになって欲しいいいい!! でも恵林ちゃんの鈍いとこも可愛いからよし! これからもお体に気をつけて自分のペースで頑張ってください! 二期も楽しみにしてます!! (2021年3月27日 15時) (レス) id: ece645a423 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(プロフ) - 『今晩は。』一期完結おめでとうございます! 恵林ちゃんが学校に行けるようになれて本当に良かった…!桐ヶ谷くんと二人で給食を食べるシーンすごく好きです…妹が不登校っ子なので、色々共感しながら読んでました!! 感動!! (2021年3月27日 15時) (レス) id: ece645a423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ※息を吸う | 作成日時:2021年3月7日 22時