150話 昔に ページ3
〜レーゼ side〜
オレ達、ジェミニストームが雷門に負けて連れてこられたのは、殺風景で何もない暗い牢屋だった……
周りにいくつも牢屋があるが、いるのはオレ達だけ……
だから、ここには何の情報も入ってこない
雷門が…………Aがあの後どうなって、今何をしているのかすらも分からない……
ここに入れられて何日経ったのだろう……
そんなある日
ｷﾞｨｰ
久しぶりに牢屋に繋がるドアが開く音がした
入ってきたのはグラン様だった…………
そして、その腕の中には気を失ったA…………
ﾚｰｾﾞ「っ……！」
グラン様はオレ達のいる向かい側の牢屋にAを入れる
ｸﾞﾗﾝ「ホントにやり過ぎちゃったかな……」(ﾎﾞｿｯ
グラン様はオレ達がいるのを忘れているのだろうか……
ﾚｰｾﾞ「ヒロト……」
ｸﾞﾗﾝ「！！なんだい？………
"レーゼ"」
やってしまった…………
ヒロトと読んでしまった……
Aを見つめるその目は悲しげで、昔の目だったからつい"ヒロト"と呼んでしまった
グラン様は驚いていた
ﾚｰｾﾞ「あ…………えっと…Aは何故ここにおられるのですか？」
一応、ヒロトの方がオレよりも上だから敬語を使う……
ｸﾞﾗﾝ「Aじゃないよ、スカイだよ」
ﾚｰｾﾞ「っ……！………………スカイ様は何故………」
ｸﾞﾗﾝ「連れ戻したからに決まってるじゃん」
ﾚｰｾﾞ「！！そう……ですか…………」
ｸﾞﾗﾝ「それだけ？それじゃ、キミと話すことなんてないから」
ﾚｰｾﾞ「っ……！！」
"話すことなんてない"
そう言われて、胸が苦しくなった
昔みたいに戻れないのか……
みんなで、あの頃みたいにサッカーを出来ないのか……
そう思った……
きっと、Aもオレ達と戦っている時こんな気持ちだったのだろう……
今になって、Aの気持ちがよく分かる……
A「ｳｯ………………痛っ……！」
ｸﾞﾗﾝ「！！」
Aが目を覚ました
ｸﾞﾗﾝ「気がついた？」
A「！！ヒロト……」
ｸﾞﾗﾝ「オレはヒロトじゃないよ」
A「っ！ここから出して」
Aは自分の状況を理解したらしい
ｸﾞﾗﾝ「それは無理だよ」
そう言って、グラン様は牢屋から出ていった
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作者名：桜舞姫 | 作成日時：2016年8月21日 19時
