冠城くんの後輩。【相棒】

相棒season16 サクラ12 ページ33

Aside


小島さんの話を聞いたあと、智弘くんの家を訪ねた。
先輩がさっきから全然話してくれない…私、何かした？


右京「では、智弘くんのお母様は彼を産んで間もなく亡くなられたのですね。」


椎名「えぇ。
父親と2人で暮らしてたんですけど、
あの子が小学校4年生のときに、
父親が大きな借金をこしらえて雲隠れしちゃったんですよ。
会社辞めて、あぶくみたいな事業を起こして…。
もう本当に馬鹿な人なんですから。」


『で、その借財の方は？』


椎名「死んだ亭主の土地家屋を処分して、私が返却しました。それでこの団地に越してきたんです。」


『なるほど…そうでしたか。』


椎名「智弘は小さい時から内気な子で、学校でもいじめられ、友達もできなくて…でも、とっても優しい子なんです。
そんな子が私を置いて家出するはずがありません。
どうかお願いですから、早く見つけてください！」


『任せてください、必ず見つけますから。』


高校生が事件に巻き込まれたとなると、
誘拐…いや、話からすると脅迫って線も考えられるな。


右京「どうですか？」


亘「えぇ、手がかりになるものはなさそうですね。」


『…智弘くんは、ここで寝てたんですか？』


椎名「えぇ。狭っこい場所が落ち着くみたいで。
小さい頃、父親の家に取り立て屋がしょっちゅう来て、そのたびに押し入れに隠れていたからでしょうね。」


『ちょっと失礼。』


亘「おい、A…。」


少し気になり、断りを入れて押し入れに入った。
先輩からの静止も聞かず、布団の上に座り天井を見た。

天井を見上げると"チームTOMO“と書かれていた写真。
天井を覗き込んだ椎名さんが驚いた顔になった。

私は天井に貼られた写真を取り、押し入れから出た。


椎名「こんな写真、初めて見ました。
あんなに、友達作れって言ってたのに…なんで隠してたんだろう？」


亘「どこかの飲食店。」


右京「その可能性はありそうですね。」


先輩が指摘したとおり、写真には店名らしき文字が写っており、お好み焼き屋さんの店内だった。

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