監獄の中の男装少女＿2【ブルーロック】

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「嘘つけ千切。ヒトのせいにすんなよ」






潔センパイの鋭い言葉に退室する直前にピタ、と
止まる。








潔センパイも、千切センパイと対等の位置につくように立ち上がった。








「本当は諦めたくないんだろ……？」






「俺だって一緒だ！怖いから…終わりたくないから戦うんだよ！」







「失くす覚悟のない人間に、夢なんか掴めるワケない！！」








『……』








センパイの、そのイラついたような言葉(ナイフ)が私にも向けられている感じがした。






あくまで、私がそう感じただけ。







実際には千切センパイに向けた言葉だ。









でも、私を凍りつかせるのには十分だった。



















「…お前に俺の何がわかんだよ」








『わかるよ、”私”は……』








思わずポロッと零れた言葉。









「……は？」









消え入りそうな声だったけれど、この静かな空間では聞き取るのは容易かったのか、千切センパイは怪訝そうな、腹が立ったような声音だった。







ハッと気づいてももう遅くて、私は口元を両手で押さえた。











「……わかるワケねぇだろ。周りからちやほやと持て囃されて、絶望なんて味わわずに育ったような甘いお前なんかに」








「ふざけるのも大概にしろよ、マネージャー如きが」







ドアがピシャリと閉まり、今度こそ出て行った千切センパイ。








一人称について、なんも触れられなかったのは良かった。









でも、千切センパイ。








それは流石に偏見が過ぎるべ。









確かに星永朔としては、何も無いかもしれない。







けど、私が言っているのは、夜永Aのことだ。











自分の武器が壊れるかもしれない恐怖なんて、とっくに知ってる。














「……A？」









放心状態だった私を心配したのか、潔センパイがしゃがみこんで私の顔を覗き込んだ。









『……え、あ…いさ、ぎ…せんぱ、』








軽めの”発作”で、全身が震える。








頬が異常に火照るのがわかる。









私は咄嗟に自分を抱き締めた。












大丈夫、軽めの”発作”だから。











すぐに、治まるから。












だから、今は













独りにしないで、















潔センパイ。

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