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肩で息をする無一郎の手には、モップが握られていた



そういえば.......無一郎って剣道部のエースだったっけ



毎日女の子にキャーキャー言われてな...





って、そうじゃなくて!





「なんで、ここに?」





何とか先生の講演会って.......





「あの人が先生なんだ」





そう、指をさしたのは息子さん





「うそっ」





「たまたま一緒にいる時、あの人に電話がかかってきたんだ。それで日本人の女の子が人質って聞いて.......まさかかと思って」






「それで、来てくれたの?」






日本人の女の子なんて、アメリカには私の他にもゴロゴロいるのに





もしかしたらって、


私だったらと思って、






来てくれたの?






「嫌な予感がしたから」






「.......っ、ありが、とう」






なんだかもう、それだけで充分かも


思い出さなくても、無一郎が私のために危険を冒してまで来てくれた事が、凄く嬉しい









「君が日本人の女の子か。もうすぐ警察が来るからね。怪我はないかい?」


「あ、はいっ、大丈夫です」





「あぁっ!ヨカッタ!ありがとう!」




さっきの母親の人にギュッと抱きしめられた




「いえ、とんでもないです....」




よかった、みんな無事で。







「ねぇ、」




ひっそりと、声を細める無一郎





「なに?」





「行きたいとこ、あるんでしょ。連れてってよ」





「えっ?でもほら、警察が.......」






無一郎は、悪戯に笑った







「抜け出すの」







人差し指を口元に当てながら。







その姿が私には、2年前の文化祭の後夜祭の時と、








まるで同じに見えた。









「行きたいとこ、ここから遠い?」





「あ、ううん.......近い。10分くらい」






だってね、ほんとはそこに行った後、帰り一緒にこのお店でケーキ食べようとしてたから。






「じゃあ行こ。静かにね」






「うん.......」







ずてんっ






私は立てなくて崩れ落ちた。







「ごめん.......なんか、足に力が入らなくて」







「.....」







無一郎は何も言わない。呆れてるのかな....



呆れて地面に跪いてるし.......







「乗って」






「え?」






「早く」






「あ、うん」






「うわっ、おもっ」






「うそっやだ降りるっ」






「嘘だよ」






「....ばかっ」






今日は大変だったから、ちょっとくらい贅沢してもいいよね。

ときめいてもいいよね。

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えお子 - とっても素敵なお話ですね!!続きのお話もみてみたいです、、 (9月24日 1時) (レス) @page44 id: ab323fe17a (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - 最高でした!!!!!続きの小説に飛べないのですが、もう続きはでないのでしょうか、? (8月7日 16時) (レス) @page44 id: e2cd766be4 (このIDを非表示/違反報告)
- もう続きは出ないのでしょうか🥲最高でした!!ホントもっと早く見つけたかった、、、めっっっっちゃかんどうしたしちょいちょい笑えるところもあって面白かったです!続き待ってます💪🏻 (6月30日 22時) (レス) @page44 id: e2cd766be4 (このIDを非表示/違反報告)
- まじ号泣です泣 (2021年8月14日 17時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
夜々*(プロフ) - いいシーンなのに、目からポカリで笑っちゃいました(笑) (2020年10月7日 14時) (レス) id: b94f92643a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なつ | 作成日時:2020年5月16日 14時

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