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「はぁ.......」
「今から、私たちの話をするね」
「突然すぎでしょ。長い?」
「まぁまぁ」
無一郎は大きなため息をひとつついて
「ご勝手にどうぞ」
ベットに寝転んだ
「あのね、私たち高校で知り合ったんだ。2年生のとき。それでね、さっきの善逸も含めた7人で仲良かったんだよ」
私は一人一人の写真を見せ、細かい説明を彼に聞かせた
その事は、何となく、覚えているらしい
「毎日屋上でお弁当食べてね、無一郎はよく私のおかず食べてたんだよ?ヒョイって取って」
ここで私は今朝作ってきたお弁当を差し出す
「現地にあるものでしか作れなかったから、忠実に再現は出来てないんだ.......でも、無一郎が一番食べてたちくわの磯辺揚げ入ってるの。ちくわ探すのめっちゃ大変だったんだよ?」
「お腹すいてない」
「お願い、一つだけ」
無一郎はしぶしぶ布団から手を伸ばして、ちくわの刺さったピックを手に取った
「それでね、2年の夏過ぎくらいにね、私たち隣の席になったんだ。それである日、私のお母さんが倒れて私泣いてたの。そこに無一郎が通って、一緒に病院まで来てくれたんだよ」
「その時に、私無一郎の事好きになったんだ」
忘れもしない、あの夜
自転車の後ろから見た景色が、あの夜だけいつもと違った
全てが眩しく見えた
「.......何か、思い出さない?よね」
「うん。何も」
「そっか」
物事は何も進まないのに、時間だけが過ぎていく
お弁当、結構いい案だと思ったんだけどな.......
「じゃあもうちょっと話すね。
私たち、高3で付き合って、冬に別れたんだ。いろいろあって.......
でも私、ずっと無一郎が好きだったの」
「19の時、無一郎がフランスに行くって聞いて空港まで追いかけたけど間に合わなかった。
それでもう諦めようとしたけど、だめだった」
無一郎は何も言わない。
何も言わず、私の話に耳に貸すだけ
「なんか、何度忘れようとしてもダメなの.......っ
笑っちゃうかもだけど、
多分、どっかの宇宙人が私の脳みそ改造とかしない限り、絶対忘れられないの!」
それくらい、好きなの
「ふっ、何それ」
ずっと黙っていたけれど、やっと、少しだけ笑ってくれた
記憶を忘れて以来、初めて見る笑顔だった
けれどやっぱり今日も、私の事は思い出さないまま終わった
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えお子 - とっても素敵なお話ですね!!続きのお話もみてみたいです、、 (9月24日 1時) (レス) @page44 id: ab323fe17a (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - 最高でした!!!!!続きの小説に飛べないのですが、もう続きはでないのでしょうか、? (8月7日 16時) (レス) @page44 id: e2cd766be4 (このIDを非表示/違反報告)
雛 - もう続きは出ないのでしょうか🥲最高でした!!ホントもっと早く見つけたかった、、、めっっっっちゃかんどうしたしちょいちょい笑えるところもあって面白かったです!続き待ってます💪🏻 (6月30日 22時) (レス) @page44 id: e2cd766be4 (このIDを非表示/違反報告)
天 - まじ号泣です泣 (2021年8月14日 17時) (レス) id: b7f3dee41e (このIDを非表示/違反報告)
夜々*(プロフ) - いいシーンなのに、目からポカリで笑っちゃいました(笑) (2020年10月7日 14時) (レス) id: b94f92643a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつ | 作成日時:2020年5月16日 14時