Яー20

12 ページ14

’



病室を出てからずっと、震えが止まらない






｢大丈夫だよ。あいつがお前の事忘れたままなわけないだろ？絶対思い出すから｣






｢うん.......｣






でも、忘れられていた以上に、あんな冷たい目で見られたのが悲しかった



今までの時間が、本当に全て消え去ってしまった目。







けれど、今日。一つだけ分かったことがある




2年ぶりに無一郎を見て、私、多分凄い嬉しかった

胸がはちきれそうになった。

想像してた再開の形とは随分違ったけど。








私、負けたくない


橋本さんに負けたくない






’






夜、ベッドの中で、言葉に出来ない不安が何度も襲ってきて、窓から見えるビルのライトが眩しくて、涙が止まらなかった








｢うーん、おはよ〜.......え！？あんたその目どしたの！？｣





梅に渡され鏡を除くと、目も顔もパンパンの時分が映っている


そういえば、前にもこんなことあったけな.....






｢昨日なかなか寝れなくてさ｣





｢大丈夫ー？あ、今日どこ行くっ？｣





｢ごめん梅、私今日行きたいとこあるんだ｣





｢OK。じゃあ私あの店行こーっと｣







ホテルの長い長い廊下を歩いていたら、さっそく先輩と出くわした




｢こんな朝っぱらからどこ行くんだよ？
あ、もしや派手にいい男見つけた.......とか？｣







いい男.......ね







｢.....はい。ずっと探してた、大好きな人見つけました｣







はて？という顔をする先輩を置いて、私は







｢ごめんね、今日も来ちゃった｣







病室へ向かう。

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す