君を守り抜く。ー20ー【妖怪ウォッチ】 (ページ4)

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８２３話：心境の変化ページ4

一晩を、大妖怪と同じ屋根の下で明かした。

貴方「ん……。」

目を覚ますと、日は昇り、
鳥の囀りが聞こえた。

貴方「朝……。」

隣で土蜘蛛は寝息を立てている。
逃げるなら今のうちかもしれない。

私は音を立てないように
玄関へと向かおうと体を起こした時だった。

貴方「きゃっ！」

腕が後ろにグイッと引かれ、倒れる感覚。
そうして、何かにもたれかかる。

土蜘蛛「どこへ行こうとしていた。」

貴方「つ、土蜘蛛…！」

土蜘蛛の手から糸が張っていて、私の両腕を後ろで固く結んでいた。これじゃ逃げられない…！

土蜘蛛「逃げるつもりだったのか？」

貴方「そ、そうじゃないわよ。散歩に行こうかと……。」

土蜘蛛「そんな身体で出歩いて、また低級妖怪にでも見つかったら、今度こそ食われてしまうと言っただろう。」

貴方「で、でも……土蜘蛛だって、私の事食べようとしているんでしょう！？」

土蜘蛛「……」

そう言って、すぐに「そうだ」という返事が来ると思ったが、土蜘蛛は黙り込んでしまった。

貴方「土蜘蛛…？」

土蜘蛛「……お主は本当に、怒るか困る顔しか見せぬな。」

貴方「お、大きなお世話よ……。」

土蜘蛛「背中の包帯を取り替えるぞ。逃げぬのなら、処置をしてやる。」

貴方「……お願いします…。」

きっと、暫くはこの妖怪からは逃げられない。
酒呑童子の情報を集めようと思ったのに
これじゃ、何も出来ないよ……。

背中を触る土蜘蛛の手が気持ちいい。
少しひんやりしていて、優しい。

やっぱりアナタは、どの時代でも変わらない…。

でも、こうなるはずだったのは
フミさんであって私じゃなかっただろうに……。