857話:本当のこと ページ29
ケータ「あ、そうだA。聞いてもいい?今回どこに行っていたのか……。」
貴方「え…?あ、うん。平安時代…。祖母に会ったわ。」
ケータ「Aのおばあちゃん?ってことは、閻魔大王の…。」
貴方「まだご結婚前だったけど。強くて優しい人だった。土蜘蛛との出会いが無くなって、その修正に行っていたの。」
ケータ「今ここにAと土蜘蛛が居るってことは、修正は上手くいったんだね。」
貴方「……。」
ケータ「A?」
修正は上手くいったけど、私は沢山の嘘をついた。きっと、土蜘蛛もカルラも…今はそれに気がついている。
貴方「私…ダメなの……。」
ケータ「え?」
貴方「中途半端で…、強くもなくて、嘘をついたのに……嘘を突き通すって決めたのに、それに耐えることもできなくて…。泣いたら、みんなに迷惑かけちゃうの分かってるのに…。」
ケータ「A…。」
貴方「ごめん……ごめんなさいケータ……。」
ケータ「…オレは、長生きじゃないからさ。Aが人間として生まれた時代も、土蜘蛛達との関係も何も分からないけど…。けどね、さっきの土蜘蛛達見て……オレ思ったんだ。本当にAのことが大切なんだなって。」
貴方「え……?」
ケータ「誰もAを危険に晒したくなくて、守りたくて……傷ついて欲しくなくて。だから、あんなに必死なんだよ。アソコには、Aを思う…いや、想う妖怪しかいないよ。Aが嘘をついた事も、全部分かった上で、批判する妖怪は誰も居なかったでしょ?」
貴方「あ…。」
ケータ「A。Aが思う以上に、みんなAを理解していると思う。だって、みんなAを見る時、優しい顔してるもん。」
貴方「ケータ…。私……。」
ケータ「ちゃんと話せば分かってくれる。オレも傍にいるから、一緒に頑張ろう?」
溢れてきた涙が止まったわけでも、後悔が消えたわけでもない。けれど、心が温かくなって、安心していく。
ケータの言葉が、私を救ってくれる。
貴方「うん…。私、話すよ…。ありがとう、ケータ。」
ケータ「うん…!」
嘘を、偽ったことを、隠すことで解決するのは嫌だ。知って欲しい。正直に、全てを聞いて欲しい。土蜘蛛とカルラに、そしてみんなに、本当のことを言おう。
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ぐりーん(プロフ) - もうこのお話好きすぎますっっ!文章も素敵で読みやすいし…これからも頑張って下さい~‼︎ (2022年3月5日 7時) (レス) @page32 id: c2e222939c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月6日 18時