君を守り抜く。ー20ー【妖怪ウォッチ】 (ページ3)

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８２２話：自覚ページ3

ー土蜘蛛side 平安時代ー

貴方「怖く……ない。」

土蜘蛛「！」

貴方「怖くなんか、ないよ…。」

初めて言われた肯定の言葉。
心に、未だかつてない感情が湧き上がってくる。

この娘から目が離せない。

なぜだ？

土蜘蛛「…では、お主は吾輩のことを嫌ってはいないのか。」

貴方「え…？嫌っていないわ。土蜘蛛は私を助けてくれたし…。悪い妖怪には見えないもの。」

土蜘蛛「……」

吾輩は言葉にならないこの感情をどうすれば良いのだろう。

口元に手を当て、暫し考えたが
娘が吾輩を曇りのない眼で見てくるせいで
何も解決策が浮かばない。

この言葉を待っていたのか？
吾輩を受け入れてくれる人間がいるのか？

土蜘蛛「吾輩のことを、好いていると……言ってみよ。」

貴方「！」

吾輩は一体何を言っているんだ。そんな事、この気の強い小娘が言うわけ……。

貴方「好き…。土蜘蛛が、好きよ。」

土蜘蛛「っ……。」

なんだ、なんだ……この気持ち。
揺さぶられる。こんな小娘の言葉に、
心が揺れるなんて……。

紅潮した二宮の頬に触れると、
二宮は驚いた顔を見せたが、吾輩の手に
自身の手を重ね、微笑んだ。

この女を……吾輩は受け入れようとしているのか？

今まで人間なぞ、食べるだけの対象だったというのに。人間を二度と信じることは無いと思っておったのに。

吾輩はこの娘に、惹かれている……？

土蜘蛛「そんな……まさか。」

もしそうなら、酒呑童子に渡すわけにはいかない……。