726話:適わないよ、絶対 ページ7
ー人間界、御神木前ー
烏天狗「さて、カルラの気配を追うよ。」
貴方「……えっと、あれ…?おおもり山の上……?」
烏天狗「なるほどね。この上に展望台がある。2人きりになれそうな場所って言えば……。」
貴方「そっか。じゃあ、そよ風ヒルズの方から上がろうか。」
烏天狗「そうだね。」
何だか、探検みたいで楽しくなってきたかも。
烏天狗も活き活きしているし、
鬼殲滅以外で人間界に来るのは久しぶり。
人間の頃が懐かしい。
ここでも色々あったなぁ。
人間界はやっぱり良い所だ。
貴方「……あ、アレって。」
烏天狗「カルラ達だ。こっそり木の影から見よう。」
貴方「……うん。」
展望台の近くにあるベンチに、カルラと女の人が距離をあけて座っていた。
何だか、正門前で見た雰囲気とは違う気がする。
何を話しているのかは分からないけど
あまり、楽しい話では無いのかな?
烏天狗「なんか、暗い雰囲気だね。」
貴方「うん……。私もそう思う。どうしたんだろう……?」
すると突然女の人が立ち上がり、
カルラに向き直った。
その女の人の顔は真っ赤で、
必死で恥ずかしさを隠しつつ、俯きながら
何かを告げた。
時が止まったみたいで、風の音だけが聞こえた。
貴方「……。」
もしかして……。
本当に……?
えんら『でも〜、それだけじゃないみたいよ〜。どうやら、カルラにご執心みたい〜。』
分かってしまった。
私には出来ない。
あんな可愛い顔。
恋している女の人の、
とても綺麗な憂いを帯びた表情。
とても私には……。
私じゃ絶対適わないよ……。
貴方「……烏天狗…、帰ろう。」
烏天狗「え?あっ……A!」
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 23時