757話:優しいヒト ページ38
烏天狗「体にも、心にもたくさん傷を負って。争いはカルラのおかげで止まったけれど、それ以来カルラは姿を見せなくなった。」
貴方「……!……もしかして、フミさんの屋敷に……?」
烏天狗「うん。遠くに行って、疲れ果てて……辿り着いたのがフミの居た屋敷だった。……フミも、心も体も傷ついていて、自分と同じだって思ったんだろうね……。カルラはそのままそこに居たみたい。」
そうか。カルラは、フミさんと同じだったから
お互い惹かれていったんだ。
烏天狗「……ねぇ、どうしてカルラが…Aのことを好きになったか知ってる?」
貴方「え……?いや……。」
烏天狗「もちろんAがフミに似ていたっていうのもあるだろうけどさ。……Aの悲しそうな顔を見て、放っておけなかったんだって言ってた。」
貴方「……」
烏天狗「カルラ自身もつらいはずなのに、Aの事を放っておけなくて、助けたくて……、アイツのお人好しもすごいよね。」
貴方「……カルラ…。大変だったんだね。…ずっと……。」
ポタポタと、着物に涙が落ちていく。
烏天狗に見られたくなくて俯いてしまう。
烏天狗「……カルラのために泣いてくれるんだね…。これ聞いたらアイツ……どう思うのかな。」
貴方「烏天狗……話してくれてありがとう。……私、カルラのところに行ってくる。」
烏天狗「……うん。カルラのこと、お願い。」
貴方「うん……。」
カルラ、もしかしたら
ずっと寂しかったのかな。
私達が仲良くして、争いが起こってしまうって
ずっと……ずっと輪から離れたところで
心配していたのかな。
……カルラを、1人にしない。
もうこれ以上傷つけないように
私も、一緒に悩んで、解決していきたい。
カルラの力になりたい。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 23時