745話:モテる理由がわかった ページ26
翌日。
昨日、悲鳴で湧いていた市街地は
お祭り騒ぎで、多くの妖怪が浮かれていた。
夕方になる頃には
朝よりも妖怪が増え、
賑やかな声が一層大きくなる。
烏天狗「鬼がいるかもしれないっていうのに、呑気なものだね。」
カルラ「……まぁ、一般妖怪の中じゃ、鬼の存在を知ってるのも稀だしね。」
貴方「……」
夜に近づくにつれ、鬼は力を増す。
一般妖怪を襲うなら、今日が絶好のチャンスだろう。
倒さないと。一体でも多く。
グッと手に力がこもる。
今更緊張してるのかな……。
カルラ「……A、どうしたの?」
貴方「…何でもないよ。」
烏天狗「そろそろ土蜘蛛さんの舞いが始まる時間だね。僕、行かないと。」
貴方「そうだったね。頑張ってね、烏天狗。」
烏天狗「うん、ありがとう!」
烏天狗は舞台の方へ向かい
カルラと2人きりになった。
カルラ「……見たいんじゃない?」
貴方「え…?」
カルラ「土蜘蛛の神楽。」
貴方「あ……うん。そりゃ…見たいけど。鬼が居ないか見張るのが今日のお務めだから……。」
カルラ「……ここからじゃ、見えないね。音しか聞こえない…。」
話しているうちに、笛や鼓の音が聞こえてきた。
もう始まったんだ……。
貴方「……土蜘蛛、きっと上手く出来るよね。」
カルラ「当たり前でしょ。土蜘蛛は天才肌だからね。」
貴方「私ね、去年のカルラの舞い……ビデオで見たの。」
カルラ「え……?う、嘘でしょ?もう……恥ずかしいな……。」
貴方「……カルラがモテるの…分かる気がする。凄く素敵だった。」
カルラ「A……。」
貴方「土蜘蛛もモテる…。今日はきっと、女の子の妖怪、凄く嬉しいだろうね。普段土蜘蛛、あまり宮の外に出ないし……。」
カルラ「……そうだね。A…あのさ……。」
カルラが何か言いかけたその時だった。
大きな複数の悲鳴が聞こえたのは。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 23時