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741話:同じものを感じたいだけ ページ22

ー土蜘蛛sideー


貴方「土蜘蛛、今日は顔に隈取描かないの?」

土蜘蛛「……今日は本番の化粧合わせだからな。」

貴方「化粧合わせ……。…あまり楽しみじゃなさそうだね。」

土蜘蛛「普段……素顔はあまり見せぬからな…。それに……。」


そこまで言いかけて黙ったとて
Aは勘づいているだろう。


人間は吾輩にとって、弱いものに過ぎなかった。
食べる対象。それ以外の価値は無かった。

恐れられ、吾輩はその人間達からの評価に酔っていた。

なのに、Aは吾輩を恐れなかった。
驚いたのだ。まさか、妖怪を自分が討つ等と抜かす女がいるなんて。


その女も、手に掛けようとしていたのに
吾輩は何を思ったのか助けてしまった。


その女が今も隣にいる。


貴方「……土蜘蛛は、妖怪って良いなって思う?」

土蜘蛛「……普通の妖怪ならば…良かったとも思えたかもしれんな。吾輩は、一度人間になってみたい。」

貴方「え……?」


人間になって、お主が感じていたものを
同じ景色を見て、吾輩も感じたい。

一時期人間には化けていたが
真似事をするだけでは満足出来なかった。



土蜘蛛「……人間とは、どれ程素晴らしいのだろうな。」


子孫を残すための恋愛でさえ
今、人間の真似事のようにしている。
恋愛など、本当は妖怪には必要ない。

本当に……これが人間の感じていることなのだろうか。


苦しくて、離れているだけで
ずっと此奴の事を考えてしまう。

少しでも見えないと安心できなくて
会いたいと思ってしまう。

会えば触れたくなる。
声を交わして、笑って欲しくて
吾輩を見て欲しいという汚い感情が
滝のように溢れ出す。


好きだと、口走りそうになった。

742話:贈り物は突然に→←740話:人間になってみたい



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設定タグ:妖怪ウォッチ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年2月28日 23時

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