739話:守りたい、その為に強くなる ページ20
部屋に戻って暫くすると
ピカッと光ったような気がした。
貴方「……ん?」
すると、途端耳を劈く様な音が鳴り響いた。
貴方「っ……!」
思わず耳を塞ぎ身を縮めた。
ゴロゴロという余韻が聞こえる。
次の光がすぐに襲ってきて
何度も何度も大きな音を立てる。
貴方「……雷…。」
雷の音にまじり、
部屋の戸が叩かれる音が聞こえた。
貴方「……あ…、土蜘蛛……?」
急いで開けると、土蜘蛛が驚いた顔をして立っていた。
土蜘蛛「……大丈夫か。」
貴方「何……が…?」
土蜘蛛「……気配が弱まっていたから、お主に何かあったのかと……。来てみたら震えておるし……、もしかして、雷は苦手か?」
貴方「……そう、かも…。」
今まで雷なんて気にした事無かったけど
あまりに大きな音だったから吃驚したのかも。
土蜘蛛が来てくれて良かった……。
貴方「ありがとう。でも、もう大丈夫……。」
笑って見せたけど、土蜘蛛はその場から動かない。じっと私を見たままで……。
土蜘蛛「……」
貴方「土蜘蛛……?」
土蜘蛛「すまぬ。……お主が、大ガマとアレをすると聞いてな……。」
貴方「あ……。血の掛け合いのこと……?大丈夫だよ、1回やってるし。」
土蜘蛛「だから……心配なのだ。」
土蜘蛛は私の腕を引き、部屋へ入ると
頭と背中に強く手を当て抱きしめた。
こんな抱擁……土蜘蛛がするなんて……。
貴方「……ごめん、心配ばっかりかけて。でも、ちゃんと7日間大ガマと頑張るから、信じて待ってて。」
土蜘蛛「……勿論だ。」
更に力の強くなる土蜘蛛の腕。
熱くて、少し苦しい。
貴方「……土蜘蛛…。」
今、何考えてるんだろう。
私のことかな?
それとも、大ガマのことかな。
腕の温かさが心地良いや。
土蜘蛛と7日間こうして
だきしめあったりしたっけ。
本当に辛そうな土蜘蛛を見てられなかった。
大ガマもあんな風になるのかな。
苦しいな、辛いな。
貴方「……土蜘蛛。」
私が守るからね……。
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作者名:暁兔 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月28日 23時