第54話：勇気 ページ9
フィン「退学届けって…。どうして…。」
貴方「色々事情があって…。もうここで生活できないんです。」
イース「そんなの、寮に入ったり他の方法だって…。」
貴方「……」
デン「なんか、理由があっぺな？」
貴方「はい…。」
アネルセンさんは、私の肩に優しく手を置くと「話してみろ」と言ってくれた。勝負のこと、両親のこと、自宅がなくなること。全て隠さずに話す間、みんな真剣に聞いてくれた。
フィン「…それは、本当に大変でしたね。まさか、アーサーさんがそんな事をしているだなんて…。」
デン「んだな…。とりあえず、Aはどうしたいんだ？」
貴方「え？」
デン「だってよぉ。おめぇの気持ちが1番大事だろ？退学したいのか、学園にいたいのか。」
貴方「私は……。」
結局、理由をつけて楽な道を選びたいだけなのかもしれない。仮にも国としての職務…この学園での学びを放棄することは、今この目の前にいる国本来に失望される…。
それに、こうなることは分かっていたはずだ。私が仮の国になってから、歴史的に見れば数百年という時が経っている。でも、私の中にはここ2年程の記憶しかない。
それを解き明かすべく、私はこの学園に来る誘いを受け入れた。未だに、1つも理由はわかっていないけれど。
今、国であることも放棄してしまえば、きっと私は普通の人間に戻る。普通の人間の寿命を全うして死ぬだろう。
本当にそれでいいのかな……？これから、今以上に辛いことは山ほどある。こんなところで逃げていたら、私は何にもなれないなんじゃないか？
貴方「私……まだ学園でやらなければならない事があって…。学園を去る訳にはいきません。でも、先輩達に迷惑もかけたくない…。どうしたらいいか、わからないんです。」
イース「なら、1人で生活できるようにすれば良いんじゃない。」
フィン「でも、学園に通いながら働くのは厳しいよ。国家予算も、勝手には使えないだろうし…。」
ノーレ「こごさ住めばいんでねが。」
デン「おおーー！親友！それすっげぇいい案だっぺよぉ！」
イース「ちょっと、勝手に決めないで。それにこんな男だらけのところで、彼女の気が休まらないでしょ。」
貴方「あの…。」
発案者のノーレは、アネルセンさんを小突き始め、イースさんは冷たく叱責する。それを見ていたフィンは困ったようなリアクションをとっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁兔 | 作者ホームページ：
作成日時：2023年5月13日 22時
